コミュニケーションツールとしての軌道可視化

はやぶさ2/あかつきのリアルタイムシミュレーションを通じて

柏井勇魚、宮崎剛

平成27年度「宇宙科学情報解析シンポジウム」

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柏井勇魚 Kashiwai Isana

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はやぶさ2/あかつきの軌道可視化

H2Track - Online Hayabusa2 Tracker

2014-12-03

はやぶさ2 距離ツイート

Hayabusa2 Swingby Simulation

2015-12-03

Akatsuki VOI Simulation

2015-12-07

技術的な話

HTML5 + WebGL

  • Webブラウザ上で3Dオブジェクトを扱う標準仕様
  • 現行のほぼ全てのブラウザで動作する(プラグイン不要)
  • JavaScript > three.js (ライブラリ)

軌道/天体位置計算

  • orb.js: 自作の天文計算用のJavaScriptライブラリ
  • 時刻・座標変換、軌道計算などをブラウザ上で処理
  • 精度はあまりない(ブラウザ上での可視化なら...)

WebGL(three.js) + orb.js

3D Model/Texture: by 宮崎剛

  • モデルデータは3D Studio MAXで作成
  • 形状は公開写真からの書き起こし
     →画面にディバイダをあてて...
  • データサイズは約800kB(テクスチャ含む)

軌道/姿勢

2015-12-03 08:45 UTC はやぶさ2から見た地球

2015-12-07 05:10 UTC あかつきから見た金星

軌道の可視化を通じたコミュニケーション

目指したもの

  • ブラウザを開くと、はやぶさ2/あかつきがいる
     →シンプルで明快であること
  • コミュニケーションのツールでありたい
     →誰もが同じものを見ている
  • 遠くのことを考えるためのツールでありたい
     →見る人の邪魔をしないこと

運用

  • スイングバイ/軌道投入の1ヶ月前に公開
  • Twitterのみで告知(フォロアー約3600人)
  • リンクをTwitterで定期的にポスト
    (探査機までの距離をツイート)

アクセス数:はやぶさ2 地球スイングバイ(1)

スイングバイの前後1週間

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アクセス数:はやぶさ2 地球スイングバイ(2)

スイングバイの前後1週間

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アクセス数:あかつき 金星軌道投入(1)

金星軌道投入の前後1週間

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アクセス数:あかつき 金星軌道投入(2)

金星軌道投入の前後1週間

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反応:Twitterユーザー, ブログなど

反応: あかつき公式Twitter

反応: Twitter上のインフルエンサー

結果

  • 一回性のイベントの場合アクセスのピークは一瞬
     →ただし、ピークを作るために目に触れておく必要がある
  • 一人一人が自分の文脈の中に組み込んで使っていた
     →色のつかない「ツール」としてのありかた
  • リアルタイムの可視化を通じてコミュニケーションが起きる
     →「ほらほら、これ見て!ここにいるんだよ!」

まとめ

  • HTML5+WebGLの可視化は結構使える(こともある)
  • 可視化ツールでコミュニケーションが活性化する(こともある)
  • データを公開すると、物好きが何かを作り出す(こともある)
  • というわけで... 何かやりませんか?

本資料URL:
http://bit.ly/k20160212