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2001.07.16
(怒)宇宙環境汚染反対!!

『ミサイル防衛システムの迎撃実験に成功 米国防総省』
http://www.asahi.com/international/update/0715/001.html
米国防総省は大気圏外でのミサイル迎撃テストを成功させたと発表。これは戦略ミサイル防衛構想の一環で隔月で4回行われる予定の実験の第2回目。第一回目は迎撃体の切り離しに失敗しており、これが初めての成功となる。

くおらぁ、このくそがきどもがぁ! 汚すなっちゅーとるじゃろがぁ!
そんたらとこにゴミほかしくさったら、他の人がけっつまづくじゃろがい! それでけがでもしたらどーすんじゃ、この大馬鹿者が!
ぐたぐた言っとらんで、さっさと拾えっ! 二度とすんなっ!

ま、軌道が低いからすぐにゴミは落ちてくるけどね。

冗談じゃなく、宇宙でゴミをバラ撒くのは極めて犯罪的な行為だ。軌道上の物体というのは秒速7.5kmほどの速度で飛行している。かりに正面衝突したとすると相対速度は秒速15km、時速5万4000kmにもなる。ある計算では、80gの破片は1kgのTNT火薬とほぼ同じ破壊力をもつという。

この宇宙のゴミは「スペースデブリ」と呼ばれ、近年非常に問題になっている。現在、軌道上の人工物体は2000t以上、そのうち95%はすでにミッションを終了し、コントロールされていない。これらはカタログ化され、衝突の危険がある場合には打ち上げを延期したり、コントロール可能な方の衛星の軌道を変更したりという対策が取られているが、当然ながら、すべての破片がカタログ化されているわけではない。事故の確率は100万分の1といわれているが、もうすでに旧ソ連の通信衛星が被害にあったと見られている。カタログ化されない微細なデブリの衝突は日常茶飯事で、実際スペースシャトルの機体にも細かい衝突跡が多数発見されている。

最近、各国でもなるべくゴミを出さないようにロケットを工夫するといった動きが出はじめており、国際的な基準をつくろうという動きもある。回収については研究は進んでいるが、一つ一つデブリとの軌道速度を合わせてランデブーし回収するとなると、莫大な費用と手間がかかるため、いまだに目処は立っていない。


で、このアメリカ国防省の実験は、軌道上を飛行中のICBMに対して迎撃体を「ぶつけて」破砕するという攻撃手段をとる。低軌道なので落ちてくるまでせいぜい数日というところだが、衝突のショックで破片の軌道が変わることも十分に考えられるし、たとえ落ちてくるとしても、ICBMが丸ごと落ちてくるとなるとちょっと゚ュ落にならないんじゃないだろうか(ちなみにいっておくと、弾頭は絶対に燃えつきない。当然ながらそういう風に作ってあるはず)。

しかも仮にも軍事目的である、その軌道が公開されているとは信じがたい(軌道要素を公開することは「敵」にも同じ手段ないし対策をとるための情報を与えることになる)。ちゃんとデブリのカタログに乗るんだろうか?

ということで、99%示威行動でしかないこんな実験はやめていただきたい。いたずらに国際情勢に波風立てるだけですがな。だって、核ミサイルが一番効果的なのは「打ーつーぞー」っていってる間だけだからねえ。冷戦時代に嫌ってほどシュミレーションやったでしょうに。しかも、今回の兵器が実戦で使い物にならないのは目に見えてるじゃない、いくらデコイと本物見分けられたからって全部本物だったらどうするの? 結局、打たれた数だけ迎撃体を発射しなきゃいけないわけでしょ? 核ミサイル相手には99%は許されない。このシステムは素人目に見ても割りに合わないやりかただよね。


スペースデプリの話は以下の本に詳しい。人工衛星入門書としてもとてもいい。おすすめ。
八坂哲夫『宇宙のゴミ問題 スペースデプリ (ポピュラーサイエンスシリーズ)』裳華房(bk1)

by isana kashiwai