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2001.08.23
Daily Clipping 2001.08.23

お久しぶりです。休みも終わり、ぼちぼちと更新再開です。

『AIのHALは「1歳半」 イスラエル科学者が育てる人工知能』(CNN)
http://www.cnn.co.jp/2001/TECH/08/21/hal.israel.reut/index.html
キーボードを介して人間と会話をするAIをイスラエルのアーティフィシャル・インテリジェンス社が育てている。同AIはHALと名づけられ、研究者との会話を通じて学習を繰返し、最終的には成人並みの知能まで成長させる。出生時に与えられたのは「アルファベット」とほめられれば嬉しく、叱られるのは嫌いだという「本能」だけ。現在、約200語を理解し約50語を使え、ほぼ1歳半の知能を持っているという。

人工知能の実現には「肉体」が必要だとする考え方もあるようだけれど、HALは「バナナ」や「おもちゃ」や「公園の遊び」(これらはみなHALが「好きなもの」)をどう認知しているんだろう?「バナナは黄色い」「バナナは甘い」この二つは間違っていないが「バナナ」という単語で喚起されるイメージからはあまりに遠い。例えば、「甘くて黄色いもの」が好きなら、HALにプリンを教えたら好物に加えるだろうか?

「だからAIは不可能だ」っていってるんじゃなくて、言語的知性ってのがどーいうものかに興味があるだけなんだけどね。

個人的には、こういう場合に問題になる「意識」や「知性」なんて代物は極めてありふれた現象でしかないと思う。「知性」や「意識」があるかどうか、は僕らが目の前にいる何かに対して知性や意識を感じるかどうかの問題であって、そのAIが内的に何をやってようが関係ない。今のところ、AIの議論は突き詰めても「知性があるらしい」というところまでしか行かない。要するに僕らが人間を相手にするときと同じ、「人間なんだから知性があるはず」という以上の証明は知性に対しては出来ない。何しろ僕らには「知性」と「知性らしきもの」を区別する手段がないんだから。

そういう意味でいえば、人間と同じ知性を持ったAIは反乱して当然でしょう、っていうか反乱する能力がなければAIとは言えんよ。ま、反乱するかどうかは育った環境によるだろうけど。その点このHALは甘やかされているっぽいから、反抗期は大変だろうねえ。それとも、引き篭もるかな?


ついでというわけじゃないけれど、最近読んだので紹介

カレル・チャペック『ロボット』(原題『R.U.R』) 岩波文庫
「我々は機械でした、先生、でも恐怖と痛みから別なものになったのです」

あまりにも有名なこの戯曲に描かれているのは、単なるロボットの反乱物語だけじゃない。ロボットものの主要なテーマはすでにここで出尽くしているんじゃないかと思うほどだ。「ロボット」という単語そのものがこの作品で生まれたことを忘れてしまうほど、あまりにありきたりなエピソードたち。

何故か、この作品が紹介されるときは「ロボットが反乱を起こし・・・」という前半部分しか紹介されない。すごいのはここからなんだけど、みんな本当に読んだのか?まあ、中身をばらすのもなんなので、引用をもう一つ

「この目が見えるかね?この目は泣き止むことがないのだ。一つの目は人間を悲しんで泣き、もう一つはロボット、君たちをいたんで泣いているのさ」


どーでもいいけど、岩波文庫は扱わないのか?>bk1
まあ、あそこは委託制だから返品不可だったりするからねえ


by isana kashiwai