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2001.09.26
Daily Clipping 2001.09.26

なんだかものすごく久しぶりな感じだなあ。

『ロボットシステム『ゼウス』で大西洋を越えた遠隔手術に成功』
http://www.hotwired.co.jp/news/news/20010925307.html
ニューヨークにいる外科医チームが、遠隔操作のロボットを使ってフランスにいる患者の手術をした。この種の手術でこれほどの距離を隔てた例は、世界で初めてと見られている。(HotWired)

この「ゼウス」は確かこの手のシステムの中では最も導入が進んでいるものだったはず。遠隔ではない事例(同じ手術室内に執刀医とシステムを入れる)ならばもう数百件のレベルだったと思う。ロボットシステムと書くと、なんだか自律して動いてるみたいだが、基本的にはマジックハンドと同じで操作する人間がする以上のことはやらない。ただ、手元の動きを何倍かに拡大(あれ、縮小かな)して伝えるから、普通にメスを握るより細かい動きができる。

「手ぶれを少なくする、きわめて細かな動作ができるようにする、長時間にわたる手術の間も座っていられる」開発者が述べるこの3つのメリットはとてもすばらしいものだし、どんどん導入されてしかるべきだと思う。

「ロボット手術システムは、第三世界や戦場、さらには宇宙ステーションなどの遠隔地で専門医療を提供するために利用される、というのが専門家の見方だという」


でも、これはどうだろう。機械のバックアップシステムは究極的には人間がやらなきゃいけないはず。だとすると現地にも手術をこなせるだけの人間がいる必要があるんだよね。だって停電したらどうするの?フランス・テレコム社のサーバが落ちたら?これは、回線を二本用意するとか、ロボットを2台用意するという問題じゃない。こういう重要なシステムのバックアップはまったく違うシステムを用意しないと意味がない(同じシステムは同じ原因で止まる可能性があるから)。この場合は当然人だ。これは、技術が進めば大丈夫ってものでもないはず。

そうでなくても、システムをセッティングし、手術室の環境を整え、患者に麻酔をかけ、適切な前処理と後処理をする必要があるし、術後の経過だって診断する必要があるはず。こういうシステムが必要とされている場所で、これだけの事をちゃんとやれる環境を整えるのはかなり大変じゃないだろうか?

この遠隔治療はデモンストレーションとしては素晴らしいし、ある特定の状況下では役に立つものだと思うけれど、基本的にはその場にいる人間の教育をする方が先決だと思う。そう、僕が問題にしているのは「第三世界」の話だ。たとえば、「第三世界」での遠隔システムの導入が現地の技術力の低下を招かない保証はない。「第三世界」→「医者が足りない」→「遠隔治療」わかりやすいが、根本的な解決には程遠い(なんか「空回りのODA」を思い出すねえ)。重要なのは依存を創り出すことではなく、自立を促すことのはず。だからってほっておくこともできないし、わかっちゃいるけど、難しいなあ。

さて、一台約一億円。安いと見るか高いと見るか?

by isana kashiwai