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2001.11.14
days/fragments 2001.11.14

「まとまったものは書かないのか?」「いや、書けないから・・・」

requiem for the dead cow
僕達が恐れているのは牛肉を食べることではなく狂牛病になることだ。 狂牛病の牛はいないというプロパガンダはもう意味がない。だっていたんだから。調べれば調べる程に分からないことが増えて行くような状況で、サイズも量も分からないリスクを取るのはやっぱり怖い。

立ちあがることが出来ずに、ふらふらとよろめくあの牛の姿を忘れるのはちょっと難しい。確率的にありえないという話は説得力はあるけれどやっぱり意味がない。僕達を怯えさせるのは数字ではなくあの牛の姿なんだから。

あの牛は食卓の上に巨大なブラックボックスが乗っかっていることを、僕達に気づかせてしまった。自分たちが食べているものが何処からどうやって来たのか、誰も知らない。そういう意味では、僕達もあの牛とそう変わらないねえ。

僕達はいま自分たちがなにも知らないということに気づいてしまった。そして、どんなにがんばってもそれを知るのは難しいだろう、ということにも薄々感づいている。ま、怖がるなってのは無理な話だ。

さて、こうやってぐたくた御託を述べながら、結局、今日もぼくらはお肉を食べる。ああ、おいしい。ちょっと不安だけど、やっぱりおいしい。

うしさん、今日もありがとう、とてもおいしくいただきました。


flying gear
ひさしぶりに、自転車の話をしよう。

動いているものを見るためには、精神は静止している必要がある。狂ったみたいなスピードで山を下っているときも、街中で人の流れをすり抜けながら走っているときも、精神状態は限りなく静止に近い。

加速する程に、精神の分解能が上がっていく。指先でなぞるように、路面の細かい変化を全身で感じ取る。激しい振動と姿勢変化の中で、精神はまるで空中をすべるように滑らかに移動する。

世界が自分の周りで刻一刻と自分との相対位置を変える。一定の距離を保ちながらその動きに追従する。流れに逆らわないように、世界の動きに自分の動きを重ねていく。まるで、重力とダンスを踊るように。

そう、自転車は空を飛ぶための道具なんだ。

by isana kashiwai