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May. 27 2002
宇宙研の気球が世界最高高度を達成

http://www.isas.ac.jp/dtc/press/balloon.html
宇宙研の新型観測気球がテスト飛行で世界記録を更新したというニュース。本文にもあるように高度53.0kmというのは小型の観測用ロケットに匹敵する高度。ちなみにスペースシャトルの軌道がだいたい高度100km前後だから、その半分ぐらい。成層圏の最上部、気温はマイナス4度から5度、上空はすでに青空ではなく、真っ暗な空が見えるはずだ。そんなところまで上がる能力を持ったこの気球は、ぼくらが普段その言葉から想像するものとはまるで違う。

これは、おそらく宇宙研の矢島研究室で開発しているスーパープレッシャー気球って奴じゃないかな?排気孔が無いって書いてあるし・・・(詳細は不明)。

この手の高高度観測気球は、地上にいるときはぺちゃんこで、上昇するにつれて外気圧が下って、どんどん膨らんでいく。で、だいたいパンパンに膨らんだところ(これを満膨張という)で目標高度に達して、そこに滞留し、各種の実験や観測を行う。

観測の内容は、赤外線やX線にによる銀河の観測や、オゾン層の観測、高層大気の採集など、科学実験がおもな用途。気象観測用の気球とはぜんぜん別物で、どちらかというと人工衛星がやってることを低いところでやっている感じ。結構いろいろ活躍してるんだけど、「ろけっと」とか「ひこうき」に比べていまいち地味だからあんまり目立たないねえ。

さて、これまでの観測気球は、目標高度で満膨張に達すると排気孔から余分なガスを放出して、一定高度を保つ。ただ、夜になるとガスの温度が低下して高度が下がるため、バラストを放出して高度を補正する必要がある。つまり、高度維持をガスの放出とバラストに頼るため長時間滞空するのが難しいという欠点がある。

これに対してスーパープレッシャー気球は満膨張したあともガスを放出せずに上昇を続け、大気の密度と気球の浮力がつりあう地点で高度を維持する。昼夜間で高度変化がないため、バラストによる高度維持の必要がなく、長時間(1ヶ月以上)の滞空時間を持つ事が出来る。ただし、名前の通り気球の内部と外部で非常に圧力差が大きくなるため、これに耐えうる構造を持っている必要がある。このため、開発が非常に難しかったが、宇宙研の矢島研究室は1999年5月にこのタイプの大型気球の実験に世界に先駆けて成功した。

このスーパープレッシャー気球を開発している矢島研は、金星の雲の下に気球を浮かべる研究なんかもやっていたりする(実は金星の雲の上はすでにフランスと旧ソ連が共同で実験しているんだけどね)。うははは、いいなあ。こういうのやろうよ。

(May. 27 2002 updated)

by isana kashiwai