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Oct. 29 2002
My Life as a Human

First dog in space died within hours (BBC)
http://news.bbc.co.uk/2/hi/science/nature/2367681.stm
号泣、うう。この話は、ちと弱い。

えーと、これまで、軌道上で一週間近く生き延びていたといわれていたクドリャフカは、ミッションが始まって数時間で、温度上昇とストレスによるパニックで死亡していたことが関係者の証言で明らかになった、というニュース。

記事中で宇宙犬の名前が「ライカ」であるように書かれているのはおそらく間違い。ライカは犬種。

ライカ犬というのは、ロシアではごく一般的な犬種。彼女の名前は「クドリャフカ」巻き毛を意味するロシア語。スプートニク2号の開発者の飼い犬だったといわれている(野良犬説もある)。1957年11月3日に打ち上げられ、多くの生態学的データを提供したあと、11月8日にえさに混ぜられた睡眠薬で薬殺された、というのがこれまでの公式の発表。

今回のニュースは、実はこれが大嘘で、彼女は打ち上げられて数時間後に温度上昇と極度のパニックにより死亡していたということらしい。それから、やっぱりクドリャフカは野良犬だったみたい。



あー、このやりきれなさは何だろう。

クドリャフカの運命よりも、彼女の死を隠さなければならないほどに歪んでいたあの頃の宇宙開発の方に悲しさを覚える。いや、多かれ少なかれ、こういう歪みは今でも変わらないんだろう。夢や希望じゃロケットは飛ばない。それは重々承知しているつもりだけれど、何度目の当たりにしても、へこむなあ。

「宇宙船に乗せられて死んだライカ犬に比べれば僕は幸せだ」(My Life as a Dog)

確かに、彼女は不幸だったかもしれない、数時間だろうが数日間だろうがそんなことは問題じゃないだろう。いきなり捕まえられて、わけのわからない訓練をされ、カプセルに詰め込まれて、死んだ。それ以上でも、それ以下でもない。科学の発展や、人間の夢や希望は彼女にはまったく関係がない。

なんだか、むやみやたらと謝りたくなるのをこらえて、とりあえず彼女が残してくれたものに思いを馳せることにしよう。「彼女がいなければ」と言うのは欺瞞だ、おそらく他の犬が犠牲になっただけのことだろう。でも、僕は彼女に心から感謝したいと思う。ロケットは夢や希望じゃ飛ばないけれど、夢や希望はロケットに乗って飛ぶ。その一端を担ってくれた一匹の犬がいたことを忘れずにいたいと思う。

ありがとう、クドリャフカ。本当にありがとう。心から感謝します。





(Oct. 29 2002 updated)

ライカ=シベリアンハスキーはおそらく誤情報です。ライカという独立した犬種がいますね。失礼しました。

(Oct. 30 2002 updated)

by isana kashiwai