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Nov. 26 2002
I've read.

えー、別に洋書ばかりを読んでるわけじゃありません(私の英語力では一冊読みきるのに数ヶ月かかるので)。

ロバート・J・ソウヤー一気読み(amazon)。
『イリーガル・エイリアン』読んだ勢いでほぼ全部読み(「アフサン」は見つけられなかった、しくしく)。

う、うるとらハード(バカ)SF。

あははははは、おもしれー。いいから読んどけ。どの作品もつい「おいおい」と言いたくなるけれど、逆に読後感はさっぱりしている。あー、いいほら話を読みました、という感じ。突っ込むのは野暮というものでしょう。広げた風呂敷の大きさと、そのたたみ方を純粋に楽しめばいいんじゃないでしょうか。ひざをバンバン叩きながら大笑いして読むのが吉。

なんとなく、グレッグ・イーガンと同じ血を感じるなあ。でもソウヤーの方が意地悪だけど優しい。どっちかっていうとイーガンは冷たいねえ。でも、個人的にはイーガンのほうが好きだなあ。なんというか「新しい認識の扉」がめりめり開く感じがするんだよね。ソウヤーは良くも悪くも現世的。

あたしゃ、イーガンの新作が読みたいぞ。いーがぁああんん!


ハイペリオンシリーズ一気読み(amazon)。
ダン・シモンズ『エンデュミオンの覚醒』文庫落ちを期に再読。

豪華やなあ。

これは、Science Fictionっていうより「すぺーす・おとぎ話」。要するに「スターウォーズ」と同じジャンルやね。こっちの方が100倍面白いけどな。

なんというか、小学生なみに豊かな想像力(褒めてます)を、天才的な構成力(褒めてます)でまとめ上げたという感じ。「存在することが奇跡」なんて大げさなことを言った評論家がいたけれど、少なくともこれを完成させたのは天才的だと思う。

いや、バカにしているんじゃなくて、普通は理性が邪魔をしてこういうお話は書けないでしょう。一つ一つの設定やストーリーを取り出すと、いかにも理屈抜きで小学生が考えそうなお馬鹿なアイディアばかり。樹木宇宙船、願いのかなう謎の神殿、不死身の戦士、古代遺跡から発見される不老不死の秘術、惑星間を流れる河・・・ただ、そういう断片にちゃんとバックグラウンドが与えられ、相互に絡み合ってとても複雑な織物をなしている。これは、凄いよ。まだ読んでいない人がうらやましい。


それにしても、ソウヤーもシモンズも読者を引っ張るのが本当に上手いなあ。ぐいぐい読ませる。人間の好奇心と感情の動きのリズムにものすごく上手く乗ってくる感じ。物語に溺れるように読む。すごく楽しい。



えーと、SFだけじゃなんですねえ。じゃあ科学書も一冊紹介。

クリス レイヴァーズ『ゾウの耳はなぜ大きい?』早川書房(amazon)

最近読んだ新刊科学書の中では文句なしにベスト。タイトルに騙されてはいけない。「代謝エンジン」をキーワードに、進化を語りながら、生物の形態や生態をずばっと解き明かしてみせるとても鮮やかな本。

良い科学書は、小難しいことなんか考えなくても、その世界にどっぷりとはまることができる。ずんずん読んで、ちょっともったいないなと思いながら最後のページを閉じる。そして、ふと顔をあげると、目の前に広がっている現実世界がほんの少し歪んで見える。

これは、そういう本です。

(Nov. 26 2002 updated)

by isana kashiwai