Junkyard Review     index     top


Jan. 09 2003
今年も、サイエンスブックを読みましょう

良い科学書は楽しくて、美しくて、ちゃんとわくわくするものです。

『独断と偏見で選ぶベストサイエンスブック2002』
http://www.moriyama.com/questionnaire/questionnaire02.html
今年もやってまいりました、ぜひ参加しましょう。2003年1月31日締め切り、持ち点5点で2002年に発行された一般科学啓蒙書をノミネートします。参加せずとも、科学書が読みたいなら、このランキングを上から順番に読めばまず間違いありません。

とはいえ、今年はこれっていうのがないんだよなあ。去年は宇宙論関係が結構出てたけど、今年はあまり読まなかった気がする・・・・。そういえば、科学書ってあんまり最新刊を追っかけないなあ、高いし。

えー、上から三つがノミネート(ベストサイエンスブック投票作品)です。結構迷ったので、とりあえず「上から順番に3つ」選ぶことにしました。見ての通り判断基準は「視点」です。ま「独断と偏見」ということで、悪しからず。何冊かは以前にもJunkyardで紹介しましたね。


クリス レイヴァーズ『ゾウの耳はなぜ大きい?』早川書房 (amazon)
タイトルに騙されてはいけません。「代謝エンジン」をキーワードに、進化を語りながら、生物の形態や生態をずばっと解き明かしてみせるとても鮮やかな本。哺乳類=高等、爬虫類=下等という認識ががらがらと崩れる。目からうろこが落ちるっていうのはこういうことを言うんでしょうね。

フランス・ドゥ・ヴァール『サルとすし職人 <文化>と動物の行動学』原書房 (amazon)
動物行動学という学問が持っている「人間中心主義」を批判しながら、動物の文化的側面について論じた本。「人間の立ち位置」についてふかーく考えさせられます。私は読んでるうちに、自分の視点がやっぱり偏っているんじゃないかと、何度も何度も確認し直す羽目になりました。いや、偏ってていいんです、がどっちに偏っているのか分からなくなるんです。そういう意味でものすごく刺激的な本です。

笹本祐一『宇宙へのパスポート ロケット打ち上げ取材日記 1999-2001』朝日ソノラマ (amazon)
ロケットが大好きなSF作家が、世界中の射場に打上げを見に行く、というタイトルそのままの本。なんというか、愛に溢れています。時々「それでもロケットが好きなんじゃぁー」と叫びだしたくなる人間にとってはバイブルのような本。

長谷川真理子『生き物をめぐる4つの「なぜ」』集英社新書 (amazon)
どんな仕組か(至近要因)、どんな機能を持っているか(究極要因)、成長においてどう獲得されるか(発達要因)、どう進化してきたか(系統進化要因)の4つの問いを「使って」、雌雄の別や鳥のさえずり、生物発光などの理由を解き明かす。凄く面白い。凄く面白いけど、ノミネートに入れなかったのは、なんとなく上の3つに比べて作者の「視点」が浅い気がしたから。教科書的というか、つるつるしてるんです、なんとなく。我ながらあいまいですねえ。

井田茂『惑星学が解いた宇宙の謎』洋泉社新書 (amazon)
観山正見『太陽系外惑星に生命を探せ』光文社新書 (amazon)
どっちにしようか迷ったあげく、どちらも次点。ワンセットで投票したくなるなあ。内容的にはほとんど被っている。太陽系外惑星の探索と、太陽系の起源と惑星の形成についてのお話。どちらもとても面白いです。微妙に視点が違うので、興味があるなら両方読むことをお勧めします。新書だしね。

的川泰宣『トコトンやさしい宇宙ロケットの本』日刊工業新聞社 (amazon)
そんなものをこんなに詳しく学んでどうするんだろう。いや、本当に分かりやすいし、ちゃんと優しく書いてある。個人的にはとても面白かったし、ものすごく勉強になりました。ロケット好きならお勧めします。H-2Aの取材に行ってる記者は、いいから読め、恥ずかしいから隠れて読め。読み物として面白いかっていうと、解説書だからなあ、ということで次点扱い。

石原藤夫『《光世紀世界》の歩き方』裳華房ポピュラーサイエンス (amazon)
100光年以内の恒星をカタログ化して地図にする、という簡単そうで凄く大変なことをやってのけた本。1994年に出た前著『《光世紀世界》への招待』の続編(前著はカタログ、本書は地図)。業績としては素晴らしいし、この本が出たことは記念すべきことだと思うけれど、これまた読み物としてはちょっと辛いので次点。


次点のほうが説明が長いのはどういうことだ?

(Jan. 08 2003 updated)

by isana kashiwai