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Feb. 26 2003
Columbia Lost 2003.02.26

この間さほど新しい情報はありません、初期段階での情報が出尽くした感がありますね。

Cockpit video found; tape ends before problems(SpaceFlightNow)
http://spaceflightnow.com/shuttle/sts107/030225caib/
CBSニュースが伝えたところによると、クルーが大気圏突入直前に撮影したビデオテープが発見されたようです。ただ、テープはテレメトリーに最初の異常が記録される15分前に終わっており、その時点で船内に異常は全く見られないとのことです。

1/28日にハワイのマウイ島上空を通過した際にアメリカ空軍によって地上から撮影された軌道上のシャトルの画像(通常画像および赤外線画像)が公開されました。
http://spaceflightnow.com/shuttle/sts107/030225amos/visible.html
http://spaceflightnow.com/shuttle/sts107/030225amos/ir.html
画像中、シャトルは上部を地球側に向けて(つまり地上から見ると逆さになって)飛行しているため腹部を見ることは出来ません。また、カーゴベイのドアを開いているために、カートランド空軍基地から撮影された、事故直前の写真で異常が見られている箇所も確認できません。惜しいっ!少なくとも、写っている範囲に異常は見られないようです。

さて、次はCAIB(シャトルの事故調査委員会)が公開した、テキサス州パウエルで回収されたシャトルの耐熱タイルの画像。主翼前縁で胴体と接合するあたりのものとのこと。上がシャトルにくっついていた側、下が外部にさらされていた側です。
http://www.nasa.gov/images/content/columbia/COL_ciab_tile1_030225.jpg
http://www.nasa.gov/images/content/columbia/COL_ciab_tile21_030225.jpg
外部に晒されていた側の表面は明らかに熱の影響でボロボロになっています。通常の飛行では、このような状態になることはありえません。ただ、調査委員会のコメントでは、これがシャトルに装着されていたときにこうなったのか、剥離した後でこうなったのかは現在調査中とのこと。

また、今のところもっとも西で発見されたシャトルの破片はテキサス州リトル・フィールドで見つかった耐熱タイルの破片とのこと(上にリンクしたものとは別です)。えーと、場所がよく分からないので。ShuttleTrak日本語版に位置を追加しておきました。ニューメキシコとの州境近辺ですね。どのあたりで落ちたものなんでしょうか?

Shuttle-Track 日本語版(PDF/633k) 2003.02.26更新
最も西で見つかった破片の位置を記載しました。
※この地図は公式のものではありませんのでご注意ください。

(Feb. 26 2003 updated)

Feb. 22 2003
Columbia Lost 2003.02.22

New data shows Columbia's state in final moments
http://spaceflightnow.com/shuttle/sts107/030221telemetry/
件の「残り32秒」の記録がずいぶん解析が進んだようです。
この間に、姿勢制御スラスターがさらに噴射されていたことは、前回の報告で分かっていましたが、最後の(本当に最後の)記録で、シャトルの油圧システムが稼動していたことが分かったそうです。ただ、油圧はゼロを示しており、機構が本当に動いていたかどうかは怪しい状態です。ただ、フライトコンピューターとナビゲーションシステム、発電機が動いていたことは間違いありません。また、油圧システムはエンジン部と胴体のカーゴベイの床下に配置されていますから、この時点で少なくとも胴体が残っていたのは確かでしょう。

また、シャトルのフライトコンピューターは「機体のロール(左右の傾き)」を警告するメッセージを発信しています。ただ、これがシャトルのコックピットに届いていたかどうかはまだ分かっていません。

シャトルの窓からクルーに見えていたのは、おそらくプラズマ化したオレンジ色の大気だけです。振動も激しかったでしょうし、減速のGもかなりのものでしょう。しかも大気圏突入時のシャトルは自動操縦になっていますから、クルーがシャトルの姿勢を知る方法はコックピット内の計器類だけです。ここに異常が表示されていなければ、彼らは自分たちの身に起きつつあることを知る方法は無かったはずです。センサーの異常は知っていたかもしれませんが、これはこれまでのフライトでも何度か起きていたことです。彼らはそれが機体の破壊を意味するものだとは思っていなかったかもしれません。

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1980 NASA contract issued for tile repair kit
http://spaceflightnow.com/shuttle/sts107/030221tpsrepair/
軌道上でシャトルのクルーが耐熱タイルを修復するためのキットが存在したかもしれない、というお話。1980年1月22日にNASAとマーチンマリエッタがそういうキットを作る契約書にサインをしたというニュースリリースがあるそうな。ただ、実際にシャトルに搭載されたという記録はないとのこと。

このキットは、耐熱タイルの代わりをする160個のシリコンゴムのかたまりと、隙間を埋めるペーストからなり、お風呂の修理に使うコーキングガンのような道具で、シリコンを破損箇所に貼り付けるようです。この非常用の「タイル」は本来のシャトルのタイルとは違う物質です。このシリコンゴムは大気圏突入時の熱で溶けることで、気化熱を利用して温度上昇を防ぐしくみ。使い捨てのカプセルではよくやる手ですね。

ただ、シャトルの外に出て、このキットを使うためには宇宙服以外にMMU(Manned Maneuvering Unit:船外活動ユニット)が必要とのこと。これはでっかいバックパック型の装置で、初めて命綱なしの船外活動が行われた時に使用されたものです。ただ、これは1986年以来使われておらず、いまはSAFER(Simplifed Aid for EVA Rescue)と呼ばれる簡易の装置が使われています。ただし、これは命綱が外れてしまった時の非常用ですね。

たとえ、このようなキットが搭載されていたとしても、シャトルの腹部には作業をする宇宙飛行士の体を固定しておくフックなどが一切無いため、現状の装備では修復することはきわめて難しいはず。我々が地上で作業するときのことを考えてみればこの作業の難しさが分かります。物をぐっと押したり、レンチでボルトを回したりできるのは、重力で体が地面に固定されているからです(意識することはほとんどありませんが)。でも軌道上では、重力がありませんから、ぐっと物を押し付けると、作用反作用の法則にきっちりしたがって、宇宙飛行士の体は反対方向に飛んでいきます。レンチで力任せにボルトを回せば、回るのは宇宙飛行士のほうです。

だから、宇宙ステーションの組み立ての際には、シャトルに搭載されたロボットアームに飛行士を固定したり、作業が必要な箇所にすべてフックと手すりが用意されているんです。え、なぜボルトを回してもシャトルごと回らないんだって?作用反作用の法則を思い出してください。反作用を受ける割合は「質量」に依存します。無重力はその名の通り、重力がなくなるだけで、質量が消えるわけじゃありません。重いものを動かすのが大変なのは宇宙でも同じです。

さて、想像してみましょう。宇宙服を着て、大きな修理キットを抱えて、SAFERを使ってどうにかシャトルの腹部へ回り込んだとしても、手をかけられる場所はひとつもありません。SAFERはあくまで非常用のものでMMUほどの機動性もなければ、推進剤の容量もかなり少なめです。破損箇所までたどり着くだけでもかなり困難な作業になるでしょう。なにしろ掴まるところが一切ありませんから、機体に物を押し付けただけで、体が機体から離れてしまいます。その度ごとに貴重な推進剤を使って体の位置調整をしなければなりません。やっぱり、ちょっと非現実的ですねえ。

(Feb. 22 2003 updated)

Feb. 20 2003
Columbia Lost 2003.02.20

なんだかやたらと忙しいので、今日は要点だけ。
Columbia was shedding debris over West Coast
http://spaceflightnow.com/shuttle/sts107/030218caib/
SpaceFlightNowの記事に、15日の「主翼へのプラズマの流入」について、細かい説明がありました。これは、私も勘違いしていましたが、プラズマのジェットが激しく翼内に流入して「破壊」したのではないとのことです。

まず、大気圏突入時のシャトルの周りには「ショックフロント」と呼ばれる境界層形成されるため、ピンホールが開いたぐらいでは、プラズマが流入することはないそうです。プラズマが流入するためには、ある程度のサイズの傷が必要とのこと。

一旦、プラズマが翼の内側に侵入すると、高い圧力と壁の触媒効果のために、非常に高い割合で、イオンと電子が再結合します(プラズマというのは高温によって、原子核の周りをまわっていた電子が原子から離れ、正イオンと電子に分かれている状態です)。これによって、翼の内部の空気が圧力が低いにもかかわらず、非常に高温の状態になる。これが先日言及されていた「プラズマが流入した状態」だそうです。これは、各センサーやその配線だけでなく、翼の構造そのものに影響を与えることのできる温度とのこと。

それから、タイトルから言うと、これが記事のメインなんですが、各テレメトリーの分析や、NASAに寄せられた映像の分析、各種の証言などから、通信途絶のずっと以前、カルフォルニアの上空で最初の崩壊が始まった可能性が高いとのこと。これはセンサーの異常が太平洋上から始まっていることを考えれば、さほど驚くべきことではないですね。

(Feb. 20 2003 updated)
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Feb. 17 2003
Columbia Lost 2003.02.15

「超高温気体の流入が原因」と断定 シャトル空中分解(CNN.JP)
http://www.cnn.co.jp/science/K2003021400485.html
事故調査委員会は、どうやらシャトルに生じた何らかの「傷」から大気圏突入時の高温のプラズマか流入したことが原因と断定したようです。センサーのデータは耐熱タイルの欠損によって、「間接的に」温度が上昇したとは考えにくく、何らかの穴か亀裂から直接プラズマが流入したと考えられるとのこと。

NASA公式NewsRelease
http://www.nasa.gov/HP_news_03072.html

うむ、でもね、それは素人でも何となく分かるんだよ。問題は、それが「いつ、どこで、なぜ起きたか」の方ですがな。だって、何らかの破壊が起きたのなら、その最初期段階で、プラズマが流入するのは当たり前だもの。これ以外の原因っていうと・・・例えば、制御系のトラブルで、いきなりバラバラになったとかかな。でもセンサーが異常値を示している時点でこの線はほとんどないよなあ。

これを「原因」と表現するのはどうなんだろう。「自動車事故で車が壊れた原因は自動車が何かにぶつかったことです」といっているようなものだぞ。まあ、言い回しの問題だからどーでもいいんだけどね。

っていうか、NASAの公式発表には「暫定的な分析結果」(Preliminary analysis)って書いてあるよ・・・。

NASAからの公式発表には、上に加えて以下のような情報が掲載されていました。
・車輪の位置と空気抵抗のデータを考えると、車輪が早く出てしまったということは、考えにくい。
・破片の調査は継続中。今のところフォートワースから西には破片は見つかっていない。

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ただ、まだ分かっていないことが多すぎて、シナリオを断定するのはまだ難しそうです。
ちょっとまとめましょうか。

シャトル翼のどこからか、高温のプラズマが侵入したことが「原因」らしい。
いつ、どこで何が起きたのかは、ほとんどわかっていないのが現状です。

最初の破壊箇所について有力なのは二つ。
「主翼の前縁」説と「主着陸脚収納部ドア」説。

後者は、温度上昇の緩やかさや、他のセンサーの異常などから見ても可能性は低そうです。ただ、主翼前縁部の破壊の証拠とされているのは、空軍の施設から「オタクなスタッフが趣味で撮影した」件の画像「のみ」ですから、まだ断定するのは早いかもしれません。

破壊原因にはまだ諸説あります。有力なのは二つ。
「やっぱり、打上げ時の剥落物衝突が原因だよ」説。「そんなもんじゃシャトルは壊れませんよ、スペースデブリか微小隕石でしょう」説。どちらも甲乙つけがたいですねえ。当然ながら、NASAは前者の意見には否定気味です。

また、プラズマ流入による「主翼の構造」そのものへのダメージや制御系への影響から破壊された可能性もないわけじゃありません。主着陸脚部分が問題にされているのは「センサーの異常」がそこに集中しているからです。でも、NASAが述べているように、これは必ずしもこの場所が「原因」だったことを示すものではないかもしれません。センサーの異常は主翼の別な箇所にも起きています。

少なくとも通信途絶から30秒間は何らかの形でシャトルが飛んでいたことは事実のようです。最後の通信の32秒後にシャトルから、「ノイズ」が送信されています。これはこの時点でシャトルのクルーが何らかの通信をしようとしていた可能性があるということです。エンジニア達は、この32秒間のデータを解析しようとしていますが、あまりうまくいっていないようです。

今回、事故調査委員会の最初の報告書の提出は60日後です(ちなみに、チャレンジャーの時は120日)。現在、回収された破片の分析が進められています。これらの結果はまだ発表がありません。

事故から2週間しか経っていません。とりあえず、ここでは結論を急ぐのは止めておきましょう。

(Feb. 17 2003 updated)

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上に述べた、「32秒間のデータ」ですが、解析を進める中で、3番目と4番目のスラスター(姿勢制御用の小型ロケット)の噴射も行われていたことが分かったそうです。通信を途絶する寸前に、1番と2番のヨー軸(機首を左右に振る動き)をコントロールするスラスターが噴射されていたことが分かっていましたが、その後、さらに2つのスラスターが噴射されていたということですね。

(Feb. 17 2003 updated)

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Shuttle-Track 日本語版(PDF/633k)
※NASAから発表された情報を元に、勝手に作った地図です。公式のものではありませんのでご注意ください。

微妙にバージョンアップしました。画像を取り込んだのでサイズがさらに膨らみましたよ。あはは。
トリミングの変更(A4→A3に)、位置の微調整の他、「件の写真」の撮影位置(写真も)、「最後の通信」を付加。

(Feb. 17 2003 updated)

Feb. 15 2003
Columbia Lost 2003.02.15

STS-107 Ground Track Charts(PDF)
http://www.nasa.gov/columbia/107_ground_tracks.pdf
NASAから公式に地図上にイベントを並べたチャートが発表されました。
これを待っていたんです。ようやく、正確な地図が書けますねえ。

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STS-107 Tracking Map 日本語版(PDF)
http://www.lizard-tail.com/isana/review/shuttle/shuttle_track.pdf
※これは筆者が現時点で発表されている情報を元に再構成したものです。
※かなり推測が入っていますのでご注意ください。再配布の際は自己責任でお願いします。

これを機にちまちまと作りかけていたやつを完成させました。一枚の地図上に各イベントを載せてテキストを翻訳した、オリジナル日本語版です。まだ、少し曖昧な部分が幾つかありますが、そのうちアップデートします。500k以上あるので、ダウンロードの際は注意してください。

若干イベントを間引いてありますが、代わりにセンサー図をつけてみました。地図上の位置とイベントの発生時刻は、目測で拾っているため、若干ずれがあるかもしれません。砂粒のような字で書いてあるので、600%ぐらいまで拡大してスクロールしながら見るのが吉です。

んー、これで、ちょっとは整理されたかな。分かったような、分からないような・・・。

(Feb. 15 2003 updated)

ちなみに、上のPDFファイルは中身が全部ベクトルデータなので、Illustratorか何かがあれば再編集できるはずです。再配布、再加工など、ご自由にどうぞ。特に連絡していただく必要もないです。好きに使ってください。ちなみに、元地図も著作権のないフリーのPDFデータから抽出したものです。

(Feb. 15 2003 updated)

Feb. 14 2003
Columbia Lost 2003.02.14

'Hi-tech' shuttle pic really low-tech(CNN)
http://www.cnn.com/2003/TECH/space/02/12/shuttle.photo.ap/index.html
件の「高解像度」写真は、施設のスタッフが休み時間に一番小さな9センチの望遠鏡を11年前のマッキントッシュでコントロールして撮影したものだったというお話。あー、やけに解像度が低かったのはそういうことだったんですねえ。

逆にいえば、あれだけ高速移動している物体を、9センチの望遠鏡とMacで撮影する技術はなかなかのものだぞ。さすが、向こうのオタクはやることが違う。

情報としての有用性を疑う向きもあるみたいだけど、まあいいじゃないですか。ないよりはよっぽどいいよ。

また、事故の二日前にNASAのエンジニアが、主着陸脚収納部が打上げ時の剥落物の衝突によりダメージを受けていた場合の危険性についてメールのやり取りをしていたという公式発表がありました。
Email Discussion of Possible Landing Gear Failure Modes(NASA)
http://www.nasa.gov/columbia/COL_landgear_email_030212.html
(同ページよりPDF化された件のメールも落とすことができます)

メールでは突入時の熱で収納部内の温度が上がりすぎると、シャトルのタイヤが破裂して、収納部のドアが吹き飛んでしまうかもしれないという指摘がされています。大型トラック用のタイヤの破裂で、毎年何人も亡くなっているぐらいですから、確かにシャトルの高圧タイヤが破裂したら、かなり周辺部に大きなダメージがあるはずです。今回の事故も、このような現象がおきていなかったとは言い切れません。

通信が途絶える直前に、シャトルの右側の主着陸脚に取り付けられた、タイヤの空気圧を計測するセンサーからの信号が次々と途絶えるという現象が起きています。ただ、初期の記者会見でディトモア氏が指摘しているように、この機能喪失は若干のタイムラグを置いて起こっており、一瞬にして破壊されたとは考えにくい状態です。しかも、このとき既にシャトルの左側の空気抵抗の増加を示唆する、エレボンの動作やスラスターの噴射が記録されていることから、なにか他にも損傷箇所があったと考えるのが妥当かもしれませんね。

(Feb. 14 2003 updated)

Feb. 12 2003
Columbia Lost 2003.02.12

なんだかコロンビア事故専門サイトになりつつありますねえ、本当は違うんですが・・・。
とりあえず、情報のアップデートをしましょう(時間がないのでちょっとだけです)。

NASAのサイトにCAIB(Columbia Accident Investigation Board)からの最初のレポートが上がっています。
http://www.nasa.gov/HP_news_mrsr0211.html
事故原因については新たな情報は今のところありません。シャトルの破片がケネディ宇宙センターに届いたようです。これらの破片についても、本格的な調査がはじまるでしょう。

また、NASAではシャトルの左翼のモックアップを作って、事故原因を探るべく検討を開始したようです。
http://www.floridatoday.com/columbia/021103investigate.htm

SpaceFlightNowに事故に至るまでのコロンビアの再突入時の詳細なタイムテーブルが出てますね。
http://spaceflightnow.com/shuttle/sts107/timeline/

(Feb. 12 2003 updated)

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NASAからPDFで提供されていたシャトルのセンサー機能喪失を時間順に追った資料を一覧にしてみました。
いずれアップデート、コメント付加を行います。
http://www.lizard-tail.com/isana/review/shuttle/sensors.html
※600x450のJPEGが25枚も貼ってあるため、かなり重いです。注意してください。

元資料(PDFファイル)
http://www.nasa.gov/columbia/COL_sensor_wire_030207.pdf

(Feb. 12 2003 updated)

アマチュアの天文ファン(人工衛星追跡が趣味のようです)がとらえたシャトルの画像
http://www.eclipsetours.com/sat/
コメントによると、ネヴァダ州で撮られたものとのこと。もしかすると、最初期の崩壊の様子かもしれません。

(Feb. 12 2003 updated)

Feb. 10 2003
Jacob's Ladder

さて、シャトル事故関連も、公式発表も含めアクティビティが徐々に落ちてきたので(まあ、まだむこうは日曜日ですからねえ)、久しぶりに違うネタを行きましょう。

宇宙空間へ物資や人を運ぶ「宇宙エレベーター」、実現は15年後?(HotWired)
http://www.hotwired.co.jp/news/news/20030210302.html
えー、15年はないでしょう。ちょっと楽観的すぎやしませんか?

リンク先の記事にはちゃんとかかれていないので、ちょっと宇宙エレベーターの説明をしておきましょう。
静止衛星は地上から見ると、ずーっと空の一点にとどまっているように見えます(衛星放送のパラボラアンテナは衛星を追いかける必要がありませんよね)。つまり、地球の自転と衛星が地球をまわる周期が一致しているわけです。じゃあ、静止衛星から3万5000kmのロープをたらせば地面に届くじゃないか、というのが「宇宙エレベーター(軌道エレベーター)」の基本的な考え方です。「スカイフック」なんて言い方もしますね。

当然、エレベーター全体の重心が静止軌道になきゃいけないので、下ろしたロープとの重量のバランスを取るために、静止軌道を挟んで地球と反対方向にもロープを延ばすか、さもなければでっかい錘をつないでおく必要がありますけどね。

ロープがつながってしまえば、あとは燃料なんか積まなくても、エレベーターと同じようにえっちらおっちら登っていけばいいし、降りてくるときに発電して、登る時にその電気を使えば、ずいぶん省エネにもなります。確かに、こいつができれば革命的に宇宙へいくのが簡単になるでしょう。でも、実は宇宙エレベーターはそうそう簡単にできるわけじゃありません。上の記事には15年なんて書いてあるけれど、これはずいぶん楽観的な意見です。個人的には死ぬまでにできてくれればいいなあ、たぶん無理だろうなあ、という感じ。

最大の問題点が材料問題です。現在、地球上には3万5000kmの自重を支えられる材料は存在しません。茹ですぎたソーメンみたいに、自分の重みで切れちゃうわけです。ロープに「テーパー」をつけて先細りにすれば(一番力がかかる静止軌道で一番太く、両端に行くにしたがって細くなるように作る)ずいぶん重さを低減できるんですが、それでも、その張力に耐えられる物質は今のところひとつしかありません。

じつはこれが上の記事で述べられている「カーボンナノチューブ」というやつです。平たく言えば、規則的に並んだ炭素分子がチューブ上になったものです(実は発見者は日本人です)。最近色々なところで応用製品が開発されていますね。これは凄く丈夫な上に凄く軽い。仮に、カーボンナノチューブで3万5000kmのロープが作れれば(まあ、形を工夫しなきゃいけませんが)、静止軌道から垂らしても切れないはずです。

でも、ここに問題点があるんです。実は「カーボンナノチューブ」は長さにして1/1000mm程度のものがようやくできるようになっただけです。自由に形状をいじったり、つないだりする技術は今のところありません。実は応用製品も数ミクロンという長さのものを半導体として使用するものがほとんどです。この「カーボンナノチューブの加工技術」が生み出されないかぎり、宇宙エレベーターは夢の夢です。上の記事で「後は作るだけだー」なんていってますが、ちょっと大げさですねえ。

まあ、他にも摂動をどうやって押さえるんだとか、デブリ対策はどうするんだとか色々細かい疑問は色々あるんですけど、まあこのあたりはどうにかなるんでしょう、きっと。ものの本には「ロケット噴射して避ける」とか書いてあって、仰け反りそうになるんですが・・・。

まあ、できっこないぜ!という予測は、大抵外れることになっているので、この文章の内容が15年後に笑いものになっていることを心から祈りたいと思います。ああ、早くできないかなあ・・・。


宇宙エレベーター関連もなかなかよい本がありますのでご紹介しましょう。
石原藤夫・金子隆一『軌道エレベータ―宇宙へ架ける橋―』裳華房 ポピュラーサイエンスシリーズ(amazon)
アーサー・C・クラーク『楽園の泉』ハヤカワ文庫SF(amazon)※SFです。品切れ?

(Feb. 10 2003 updated)

Feb. 10 2003
Columbia Lost 2003.02.10

シャトル機体から物体離脱 宇宙ゴミか隕石の可能性も
http://www.asahi.com/international/update/0210/006.html
スペースデブリの可能性も出てきたようです。シャトルの打上げ翌日に、軌道上でシャトルから秒速5kmで遠ざかる物体がレーダーに映っていたとのこと。ただ、これは廃棄された水かもしれないとのことなので(その割には動きが変らしい)、まだはっきりとしたことは分からない状態のようですね。

これを機にスペースデブリついて、もう一度ちょっぴり解説。

スペースデブリというのは軌道上のゴミのことです。軌道上には天然の隕石などだけでなく、打上げ時に切り離されたロケットや、稼動を終えた衛星なども多数浮遊している。これをスペースデブリと呼び、近年ずいぶん問題になっています。

軌道上の物体というのは秒速7.5kmほどの速度で飛行しています。かりに正面衝突したとすると相対速度は秒速15km、時速5万4000kmにもなる計算です。ある計算では、80gの破片は1kgのTNT火薬とほぼ同じ破壊力をもつという試算もあるようです。現実的な保護方法は今のところ「避ける」以外にはないのが現状ですね。

現在、軌道上の人工物体は2000t以上、そのうち95%はすでにミッションを終了し、コントロールされていません。人工衛星も放っておくと僅かな空気抵抗で高度が下がったり、「摂動」という現象で軌道がふらついたりするため軌道修正が必要です。多くの場合、この軌道修正のための推進剤が切れるまでが人工衛星の寿命になります。

このような人工物体はカタログ化され、衝突の危険がある場合には打ち上げを延期したり、コントロール可能な方の衛星の軌道を変更したりという対策が取られていますが、当然ながら、すべての破片がカタログ化されているわけではありません。事故の確率は100万分の1といわれていますが、もうすでに旧ソ連の通信衛星が被害にあったと見られています。カタログ化されない微細なデブリの衝突は日常茶飯事で、実際、これまでもスペースシャトルの機体にも細かい衝突跡が多数発見されていました。

最近、各国でもなるべくゴミを出さないようにロケットを工夫するといった動きが出はじめており、国際的な基準をつくろうという動きもあるようです。回収についても研究は進んでいますが、一つ一つデブリとの軌道速度を合わせてランデブーして回収するとなると、莫大な費用と手間がかかるため、いまだに目処は立っていません。

このデブリ問題は、今後宇宙開発が進めば進むほど深刻化してくるはずです。
もし、今回の事故がデブリによるものだとすれば、事実上避けようのなかった事故ということになるでしょう。デブリを弾き返すほどシャトルを頑丈にするというのは非現実的です(おそらく、重量増で現行のエンジンでは飛ばなくなるはずです)。

まあ、今回の事故で明らかになったシャトルプロジェクトの最大の問題点は、バックアップの有人飛行システムが用意されていなかったことにあるような気がしますが、これについては、長くなるのでまた今度。

スペースデブリについては、以下の本がお勧めです。
八坂 哲雄『宇宙のゴミ問題―スペース・デブリ』裳華房 ポピュラーサイエンスシリーズ(amazon)
幸村誠『プラネテス』モーニングKC(amazon)※コミックです

(Feb. 10 2003 updated)

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を、NASAのサイトにMissionStatusが上がってますね。リンク切れしてるけど(リンク先がfile://〜になってるよ)。おそらく、下記のページです。
http://www.nasa.gov/columbia/COL_statusrepts.html

ここから、これまで書かなかった細かい情報についてフォローしましょう。

調査委員会について。
これまでNASAの開発チームが主導で行われていた調査ですが、Columbia Accident Investigation Board (CAIB)に主導権が移っています。今後、記者発表もこちらのメンバーが手動で行われることになるようです。ディトモアさんご苦労様(いや、彼の仕事はまだ終わったわけじゃないですけど)。

国際宇宙ステーション(ISS)について
6日にちょっとだけ触れた、ステーションの高度維持についてですが、現在補給のためにステーションに接続されているプログレスを使って今週行われるようです。とりあえず、よかったですねえ。あとは、交代要員問題ですが・・・。

(Feb. 10 2003 updated)

Feb. 08 2003
Columbia Lost 2003.02.08


NASA

件の「高解像度写真」がNASAから公開されました(NASA公開画像なのでcopyrightはクリアされてるはずです)。思ったより、解像度が低いですねえ。ただ、確かに右翼に対して左翼のラインがギザギザになっている様子はわかります。欠けているより、むしろ盛り上がっているように見えるのは、撮影角度のせいでしょうか。

http://spaceflightnow.com/shuttle/sts107/030207briefing/
記者会見も開かれたようです。本画像については専門家の手によってさらに分析を進めているという以上の情報はありません。確かにこの写真では原因を特定できるほどではありませんね。ただ、ハッキリしているのは、何かが起こったのは主着陸脚収納部そのものではなさそうだ、ということです。ただ、その近くで何かが起きただろうということは、同時に公開された、センサーの配置図でもわかります。

異常を示した、センサーの配置図(FloridaToday)
http://www.floridatoday.com/!NEWSROOM/newsgraphics/020803badwing.jpg
写真でギザギザになっている部分と、主着陸脚の収納部はとても近い場所にあります。ここがなんらかの原因で破壊され、主翼内部に熱が回ったんでしょうか?んー、まだ憶測の域を出ませんねえ。

また、フォートワース付近で主翼の一部と見られる大きな破片が見つかっています。
http://spaceflightnow.com/shuttle/sts107/030207wingfound/
まだ、どちらの主翼なのかはハッキリしていないようです。下の地図だとダラスのすぐ右です。最初に「分裂」が確認された位置にかなり近いですねえ。これまで見つかっている破片の多くがフォートワース付近より東側で見つかっていますから。もしこれが左翼なら、分裂の最初期に落下したことも考えられます。

まあ、落下物の分析もずいぶん進んでいるようなので、もう少し待ちましょう。「結論を急いではいけない」とディトモア氏も言ってますしね。この間、NASAの見解が二転三転していることを批判する向きもあるようですが、チャレンジャー事故のときは「はっきりしたことは何もいえない」の一点張りで、情報公開がほとんどなされず、憶測の嵐が吹き荒れたという経緯があります。その批判もあって、NASAは今回は非常に密に情報公開を行っています。調査の途中経過を逐一報告しているわけですから、分析結果いかんによって仮説が変わるのは当然のことでしょう。

当然ながら、このページに書かれている情報も、正しいとは限りません。憶測が混じっていますし、事実の誤認や間違った知識、英文読解力の欠如などで汚染されている可能性が大です。くれぐれも信じないように。正しい情報が得たいならば、少なくともリンクしている元記事を参照してください。そちらのほうがより「真実」に近いはずです。

(Feb. 08 2003 updated)

Feb. 08 2003
飛行経路図 2003.02.08

自分でもよく分からなくなってきたので、シャトルの飛行経路を地図の上に重ねてみました。
今の段階では、かなりの部分が推測に頼らざるを得ませんが、だいたいの目安にはなると思います。


※この地図は、既にアップデートされています。以下の記事を参照してください。
http://www.lizard-tail.com/isana/review/view.php?search_id=20030115060556

今回、仮に8:59の地点をアルバカーキに置きました。これは、カートランド空軍基地から撮影された映像にスラスターの噴射が写っているという情報を元にしています。シャトルからの通信が途切れる寸前に最初のスラスターの噴射が行われたという記録がありますから、少なくとも時刻のプロットがこれ以上右にずれることはありません。

思っていたより、ずいぶん前から異常が起きていますねえ。

8:52(EST)
左着陸脚のブレーキラインに取り付けられた3つのセンサーが、着陸脚収納部の異常な温度上昇を捕らえる。

8:53(EST)
4番目の左着陸脚ブレーキラインのセンサー、ストラット・アクチュエイターとアップロック・アクチュエイターのセンサーが、これに先立つ5分間で30度から40度への上昇を示す。

8:55(EST)
5番目の左着陸脚ブレーキラインのセンサーが異常な温度上昇を示す。

8:57(EST)
翼の上面と下面の温度センサーが計測不能に。

8:58(EST)
機体の左側の空気抵抗が増加して、機首が左へ向き、機体が左にロールしようとするのを打ち消すために、シャトルのフライトコントロールが翼のエレボンに命令を送る。

8:59(EST)
再び、エレボンに命令が送られる。また、これを補助するために右側の4つのスラスターのうち2つが(姿勢制御に使われる小型の噴射装置)が噴射される。直後に、シャトルとの通信が途絶。

9:04(EST)
事故当日に流れた映像が撮影されたとされている場所。最初の「分解」が確認されている地点。

(Feb. 08 2003 updated)

画像ファイルを入れ替えました。

(Feb. 15 2003 updated)

Feb. 07 2003
Columbia Lost 2003.02.07

【未確認情報】※NASAの公式発表ではありません
Air Force imagery confirms Columbia wing damaged (SpaceFlightNow)
http://spaceflightnow.com/shuttle/sts107/030207avweek/
米空軍の地上からの追跡カメラが撮影していた高解像度の映像に、シャトルの左翼が損傷を受けている様子が映っていたとの情報が流れています。現在、ジョンソン宇宙センターで分析中とのこと。

映像には、左翼と胴体が交差するあたりが損傷を受けて、ギザギザになっている様子が映っており、また、シャトルが姿勢を回復するために機首右側のスラスターを吹かしている様子も映っているとのことです。

リンク先の記事も、憶測が混じっていて何が事実情報なのかよく分かりません。
もし、この情報が正しければ、損傷があったのは着陸脚収納部ではなく、翼前縁かもしれません。ここは、再突入時に最も加熱する部分の一つですし、もし損傷があれば空力的に多大な影響が出るはずです。

上記の記事によると、ちょうどこの翼の前縁は、より高い温度に耐えられる黒いカーボン製の耐熱タイル(腹部に張られているもの)と、若干耐熱温度が低い白いタイルの境目に当たり、U字型のタイル(羽前縁をくるむように配置)が張られている場所とのこと。このタイルの機体への接続は、この2種類のタイルの膨張率の違いを吸収するために、若干の柔軟性を持たせるような工法が使われているようです。

繰り返しますが、これは情報ソースが明らかにされていない未確認情報です。ガセネタの可能性もありますので、くれぐれもご注意ください。

(Feb. 07 2003 updated)

FrolidaTodayにも記事が上がりました。
http://www.floridatoday.com/columbia/020703satimages.htm
今回の情報源は、Aviation Week & Space Technologyのようです(同社のサイトでは該当情報は見つけられませんでした)。また、撮影したのはニューメキシコのカートランド空軍基地(Kirtland Air Force Base)とのこと。


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さて、ちょっと心配な国際宇宙ステーションの今後についてです。
http://spaceflightnow.com/shuttle/sts107/030206station/

NASAは国際宇宙ステーション(ISS)に4月の後半から5月の前半にかけて、2人か3人の「維持要員」を送るべく手配を進めているとのことです。これは、もともと4月26日に予定されていたソユーズの「タクシーミッション」を利用するもの。

ISSには、脱出用のソユーズカプセルが常時接続されています。このカプセルは6ヶ月に一回交換されることになっており、これをタクシーミッションと呼んでいます。本来ならば、宇宙飛行士が一人搭乗し、ISSに新しいカプセルを届けた後、古いカプセルで地球に帰還しますが。今回は、このカプセルに交代要員を乗せて打上げ、現在軌道上にいるクルーを帰りの便で降ろそうということのようです。

昨日も触れましたが、ISSは補給のかなりの部分をスペースシャトルに頼っていました。上の記事中でも指摘されていますが、飲み水問題などはかなり深刻です。このため、維持要員は2人になる可能性が高いとのこと。当然ながら、シャトルの運用が再開されるまでは維持管理に専念するほかありませんし、それもかなり綱渡りの状態が続きそうです。

本来ならば、2003年は今回のコロンビアを含め5回のスペースシャトルミッション、2回のソユーズミッション、3回のプログレスミッションが予定されていました。つまり、ISSへの直接コンタクトの機会が半分に減ってしまったことになります。

(Feb. 07 2003 updated)

HotWiredに今後のISSの運用について詳しい記事が掲載されました。
http://www.hotwired.co.jp/news/news/technology/story/20030207304.html
ロシア側とNASAはスペースシャトルなしでISSを運用する方法も検討しているとのこと。

たしかに、人道的理由を横に置いておいても、アメリカの金銭的援助のもとに、ソユーズとプログレスの運用体制を強化することが出来れば、崩壊以後、下降の一途をたどっていたロシアの宇宙開発を再浮上させるチャンスです。ロシアからすれば、放っておく手はありませんねえ。

(Feb. 07 2003 updated)

コロンビア関連について、以前紹介したmontreal lifeのkay-jさんも掲示板のほうでフォローされていました。メインサイトが更新されていないなあ、と思っていたんですが・・・。ほとんどソースが同じなので、ネタが被るのもしょうがありませんねえ。だって、アクティビティの高いソースは実は本国にもあんまり無いんですもの。

(Feb. 08 2003 updated)

Feb. 06 2003
Columbia Lost 2003.02.06

http://spaceflightnow.com/shuttle/sts107/030205foam/

記者会見があったようです。ここまでの情報をアップデートをしておきましょう。今回も目新しい事実はありません。今回の会見の焦点は、打上げ時の剥落物についてです。調査チームは、この剥落物は事故の直接原因ではない可能性が高いという見方を強めています。

会見全文 (NewYorkTimes要登録無料)
http://www.nytimes.com/2003/02/05/national/nationalspecial/06NASA-FULL-TEXT.html

外部燃料タンクの外壁に使用されている物質は、打上げ時の空力加熱からタンクを保護するためのもので、非常に軽くてもろいために、衝突による衝撃ではシャトルの耐熱タイルを破壊することは出来ないだろうとのことです。剥落物が氷である可能性も指摘されていましたが、当日シャトルへの着氷の事実はなく、またこの高度まで上昇すると、過熱で解けてしまうとのことです。

また、今回打上げ時のシャトルを裏側から撮影した映像が公開されました(リンク先参照)。これを見るかぎりは、剥落物が衝突したことによる外見上のダメージは認められません。

現在、調査は大きく分けて3つ方向で進められています。
・テレメトリーデータの解析
 シャトルから送られてきたデータの解析です。これには、通信途絶後も32秒間に渡って続いていたといわれる、送信データを各通信ノードからの復帰する作業も含まれていますが、今のところノイズのレートが高すぎて有意な情報は得られていないとのこと。

・シュミレーション/実験
 最終段階で起きていた、シャトルの左側の空気抵抗の増加がどれくらいのものだったのかを、姿勢制御用ロケットの噴射のデータから逆に推測するシュミレーションを行っているそうです。また、打上げ時の剥落物がシャトルの左翼に与えた影響についても、追試実験を行っているとのこと。

・シャトルの破片の回収および分析
 現在、回収された破片をケネディ宇宙センターに移送して分析することを検討しているとのこと。また、当初予想されていたより広範囲にわたって破片が飛散しており、調査のエリアを拡大しているとのことです。

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個人的に注目したいのは、残り32秒間のテレメトリデータというやつです。これが復帰できればかなりの事実がわかるんじゃないでしょうか。どうやら、通信衛星を経由して送られてきていたはずのデータを、経由したサーバ等からパケット単位で回収を試みているようです。す、すごい。

シャトルの運行開始当時、この最も熱をもつ着陸20分前から12分前の約8分間は『ブラックアウト』と呼ばれ、熱によってプラズマ化した大気の影響で地上との交信が一切出来ませんでしたが、現在はシャトルの背中に搭載されたアンテナを使用し、衛星を経由させることで通信を可能にしています。

シャトルの破片の回収はかなり進んでいるようです。今回調査範囲がカルフォルニア州のほうまで広げられたことは、これまで考えられていたよりずいぶん早い段階から破壊が始まっていた可能性があることを示しています。

破片の回収が進み、機体のどの位置のものなのかが特定できれば、落下していた位置によって、どの部位から破壊が始まったのかを特定する手がかりになるでしょう。もしかしたら、破壊の原因を特定できる、何らかの証拠が破片に残っているかもしれません。


黙殺しようかと思ってたんですが、まだ一部で騒いでいる人がいるようなので、コメントを。
昨日、一昨日ぐらいにかけて、「シャトル翼面の傷」と称される映像があちこちで公開されていました。あれは、かなり意図的に流されたデマです。件の映像はシャトルの腹部ではなく、カーゴベイ内部のカバーのクローズアップのようです。知っていれば見た瞬間に違うと分かるんですけどね。変な突起物が見えているし、色も黒くないし、形もスケールもシャトルの翼と一致しないし・・・。

付け加えておくと、STS-107のミッションは科学実験でした。国際宇宙ステーションとのドッキングはありませんし、そもそも、軌道の高さがぜんぜん違います。また船外活動を行うことも考えられますが、これには作業用のアームや遠隔操作システムが必要です。今回その予定がなかったため、これらの機材は搭載されていません。軌道上でシャトルの腹部を撮影する方法はなかったんです。

ちなみに、現在シャトルの耐熱タイルを軌道上で交換する方法はありません。たとえ予備を積んでいっても、軌道上、真空中ではくっつきません。シャトルのタイルはかなり厳密な温度管理の元で職人が一枚一枚手で貼っているんです(その管理体制に問題があったことが、指摘されています)。

では、かりに大気圏突入が不可能なほどの傷をシャトルが負っていたとして、それを軌道上で知ることが出来たら、彼らに何が出来たか?ほとんどできることはなかったはずです。NASAには、数週間で打ち上げられるような予備のシャトルやロケットはありませんし、ロシアのソユーズやプログレスも同じです。前にも書いたように、いま宇宙に人を運べる乗り物はスペースシャトルとソユーズだけです。ちなみにソユーズには7人も乗れません(大きいほうで3人、小さいほうで2人です)。

今回の場合、国際宇宙ステーションの軌道はずっと上です。そこへたどり着く方法も、迎えに行く方法もありません。もし仮に、上手く転用できるプログレスがあったとして、補給物資を打ち上げても、シャトルとドッキングする方法がありません(ドッキングベイは必要に応じて積んでいくんです)。さっき書いたように、今回は船外活動を行うために必要な機材も積み込まれていませんから、取りに行くのも難しいかもしれません(外に出ることはできるはずですから、不可能ではありませんが・・・)。


一歩外は真空、無重力、太陽の直射熱、放射線・・・、生身では1分と持たないはずです。水も食料も空気も地上から持って上がる以外の方法は今のところありません。宇宙飛行はずいぶん日常化したような錯覚に捕らわれますが、所詮は薄皮一枚の日常なんです。ちなみに、シャトルのクルーは打上げ前に遺書を書くのがきまりになっています(公開はされていませんが、家族のもとにはもう届いているでしょう)。あそこはまだ、そういう場所なんです。

(Feb. 06 2003 updated)

追加情報です。
http://www.cnn.co.jp/science/K2003020500877.html
先日ロシアから打ち上げられた、無人補給船のプログレスが国際スペースステーションに無事到着したようです。これで、とりあえず、6月までは大丈夫です(これは、事故の前から予定されていたものです)。ただ、まだCrewを降ろす目処は立っていません。本当は、次のミッションで交代要員が上がるはずだったんですが・・・。

ただ、あまり指摘している人がいませんが、国際宇宙ステーションの高度だと衛星はかすかな空気抵抗を受けます。放っておくと一年以内に落ちてくるはずです。まだ建設途中のスペースステーションは自力で高度を維持することが出来ません。確かこれまではドッキングしたスペースシャトルのスラスターを使っていたはずなんですが・・・。

まあ、ミールはソユーズやプログレスを使ってやっていたはずなので、ロシア機でもできるはずですけどね。

(Feb. 06 2003 updated)

※その後、シャトルの運用マニュアルを見直したところ、今回のミッションでもエアロックは使用できたかもしれません。SpaceLabと排他使用だと思っていたんですが、どうやら併用できるようです。大変失礼しました。

(Feb. 07 2003 updated)

Feb. 06 2003
宇宙飛行士という仕事

追悼式典でのブッシュ大統領演説全文(SpaceFlightNow)
http://spaceflightnow.com/shuttle/sts107/030204bushmemorial/
STS-107のクルーを一人一人をエピソードと共に紹介しながら、彼らを讃える内容です。相変わらず、こういうのは上手いですねえ。ただ、彼が話しているとなんだか裏の意図があるような気がしてしまうのは困ったものですが・・・。当然アメリカ政府としては、彼らを「国家の英雄」にするのが目的なんでしょうけど。


僕は彼らを英雄視するのは、あまり好きではありません。

彼らが英雄なのは、彼らが死んでしまったからでしょうか?あるいは、全ての宇宙飛行士は死を賭してまでフロンティアに挑戦する英雄なんでしょうか?なんとなくですが、僕はそうじゃないような気がします。彼らがリスクを知っていたことは事実でしょう。それを知らずに、危険に赴くのはただのバカです。でも、それは彼らが英雄であることの証明ではありません。もちろん、英雄はなるものではなく、作られるものです。でも、彼らを英雄視することは、どこかで彼らを冒涜することのような気がするんです。

この数日間やっと落ち着いて、まず開いた本がありました。それはサン・テクジュペリの『人間の土地』です。我々がなぜあそこに行かなければいけないのか、なぜあそこに行きたいと望むのかを考え始めた時に、まず思いついたのがこの本でした。まあ、この本は個人的に「生まれてこのかた一番好きな本」だったりするので、たまたまというわけじゃないんですけどね。

知っている人も多いでしょう、「星の王子さま」のサン・テクジュペリが自らの飛行士としての体験を書いたエッセイです。1930年代、郵便航空の黎明期に空路を開拓しながら、郵便物を空輸していた人々のエピソードがちりばめられた、とても美しい本です。

当時、飛行機はまだとても信頼性が低く、飛行中にエンジンが止まることもしばしばでした。もちろんGPSなどありませんし、レーダーもありません。ナビゲーションはコンパスと地形を頼りに地図を見ながら行っていました。彼らのほとんど全員が不時着を経験しています(サンテクジュペリ自身も何度も不時着を経験しています)。幾人かは無事戻り、幾人かは二度とかえってきませんでした。

彼らを支えていたのは、無謀な冒険心や虚栄に満ちた英雄願望ではありません。彼らが「成功」しても誰も讃える人はいません。ただ、郵便が無事に届くだけです。彼らが「失敗」して死んだとしても、彼らを讃えるのはごく一部の身内だけだったはずです。

冬山に不時着し、吹雪の中を身一つで何日間も彷徨うような思いをしたり、水も無く砂漠の真ん中に不時着して飢えと渇きで死にそうになったり。そんな経験をしても、彼らは体の傷が癒えると、また出かけていきます。かの本にはその理由がちゃんと書いてあります。「彼が帰って来るのは、いつもきまってふたたびまた出発するがためだった」

彼らは、非日常に向かって突き進んでいった冒険者ではなかったんじゃないでしょうか?彼らは、僕たちに先んじて、あそこを日常にしようとしていた人たちです。「宇宙飛行士」は勇者の称号ではなく、まず、ひとつの職業の名前です。もちろん、彼らは勇気ある人々でしょう。でも彼らが賞賛されるべきはその勇気ではないような気がします。


ちょっと長くなりますが、もう少し「人間の土地」から引用をしましょう。

「なんと呼んでいいか、適当な名称の見当たらない美質がある。それは<慎重さ>と呼ぶべきかもしれないが、しかしこの呼び名はまだ十分でない。なぜかというに、この美質は、世にもにこやかな陽気さを伴いうるからだ。それは一人の大工が、対等の気持ちで、自分の木材と向かいあい、それを撫でさすり、寸法を測り、かりそめならず扱って、自分の気力の全てをそれに注ぎ込むあの気持ちなのだ。」

「人間であるということは、とりもなおさず責任を持つことだ。人間であるということは、自分には関係がないと思われるような不幸な出来事に対して忸怩たることだ。人間であるということは、自分の僚友が勝ち得た勝利を誇りとすることだ。人間であるということは、自分の石をそこに据えながら世界の建設に加担していると感じることだ。」


そう、それでも、彼らはあそこへと赴き、夢と希望を語るでしょう、自らの経験と職業として。ぼくは、その彼らのプロフェッショナルとしてのプライドに最大限の敬意を払いたい。未来を自分の手元に引き寄せようとする、彼らの想像力と意志を尊敬したいと思います。


(Feb. 07 2003 updated)

Feb. 04 2003
Columbia Lost 2003.02.04

情報のアップデートです。さほど新しい情報はありません。
昨日発表されたタイムラインが若干修正・更新されています。

昨日に引き続き、ニュースリリースなどに掲載された
シャトルプログラムマネージャーのディトモアのコメントの抄訳です。
http://spaceflightnow.com/shuttle/sts107/030203link/
http://www.nasa.gov/HP_news_mcc0203_bb_030203.html

8:52(EST)
左着陸脚のブレーキラインに取り付けられた3つのセンサーが、着陸脚収納部の異常な温度上昇を捕らえる。

8:53(EST)
4番目の左着陸脚ブレーキラインのセンサー、ストラット・アクチュエイターとアップロック・アクチュエイターのセンサーが、これに先立つ5分間で30度から40度への上昇を示す。

8:55(EST)
5番目の左着陸脚ブレーキラインのセンサーが異常な温度上昇を示す。

8:57(EST)
翼の上面と下面の温度センサーが計測不能に。

8:59(EST)
機体の左側の空気抵抗が増加し、機首が左へ向こうとするのを打ち消すために、シャトルのフライトコントロールが翼のエレボンに命令を送る。また、これを補助するために右側の4つのスラスターのうち2つが(姿勢制御に使われる小型の噴射装置)が噴射される。直後に、シャトルとのコンタクトが失われる。


昨日の情報と微妙に違っています(両者とも、NASAの公式発表です)。スラスターの噴射があった事実と、温度の上昇値の修正、各部センサーからの温度上昇のデータが新しい条項でしょうか。昨日言及されていた8:53(EST)のエレボンのセンサーの機能喪失については、今回触れられていません。誤報なのか、省略しただけなのかは不明です。

現在、エンジニアチームが、これに続く32秒間のデータを、データ転送システムの各ハブから直接読み出そうとしているとのことです。これが分かれば、さらに進展があるでしょう。

注意すべきなのは、温度上昇が必ずしも構造的な破壊を意味しないかもしれないということです。着陸脚のセンサーが30度から40度の温度上昇を示していた時、機外の温度は2000度を超えていました。また、5つのセンサーが同時に温度上昇を記録しています。着陸脚の収納部に熱的な破壊が起きていたとすれば、このようなデータにはならないはずです。これはその段階で起きていた「何か別のこと」を示しているのです。

同じように、主翼上面での温度上昇も、構造的な破壊によって「熱が突き抜けた」ことを示すものではありません。

さて、もう一つの焦点である、打上げ時の剥落についてですが。件の物体は、20X16X6インチのサイズで重さが2.67ポンドぐらいだとのこと。昨日も述べられていましたが、この剥落物の衝突だけでは、今回のような事故が起きるとは考えにくいとのこと。

(Feb. 04 2003 updated)

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さて、ここまでがNASAの公式発表のまとめです。

世間では、ずいぶんNASAの安全管理不足を批判する声が高まってきました。当然でしょう。よくあることとはいえ、打上げ時のシャトルからぱらぱらパーツが落ちるのは問題です。元NASAの職員が安全管理のずさんさを大統領に直訴する手紙を送っていた、なんていうニュースも流れているようです。まあ、この手の話はそれこそアポロの頃からずーっと言われていたことですね。そういう面から見れば、NASAが昨日今日と剥落物の衝突だけが原因ではないことを強調してるのは、これらの批判を和らげる意味がないとはいえないでしょう。ま、嘘を言ってるとは思いませんが。

無批判に全てを信じるのもどうかとは思いますが、個人的には得体の知れないリークや憶測をちまちま分析するよりは、公式発表を追うほうがずいぶんましだと思います。中には全く逆の考え方をする方もいらっしゃるようですが・・・。

なんにしても、調査は始まったばかりです、「真実」が明らかになるにはまだずいぶんかかるでしょう。
チャレンジャーでさえ、全ての記録が公開されるまでに10年近くかかったんですから。

(Feb. 05 2003 updated)

Feb. 03 2003
Columbia Lost 2003.02.03-2

ここまでに分かっている情報をまとめましょう。
※この情報は既にアップデートされています。最新記事をあわせて参照してください(Feb.04.2003)

更新途絶までにシャトルに起こっていた現象について(SpaceFlightNowの記事抄訳)
http://spaceflightnow.com/shuttle/sts107/030202investigation/

8:53(EST)
左翼の4つエレボン(大気中でシャトルを操縦するために使う主翼の後端の動翼)を制御する油圧装置の温度計の値が計測不可能な値まで低下します。

左着陸脚のストラット・アクチュエイターとアップロック・アクチュエイター(着陸脚を引き出すための装置)の温度が5分間で20度から30度まで上昇します。これらの温度計は左着陸脚を収めている空間に設置されているものです。

※ここで重要なのは、最初に機能を失ったエレボンの温度計の配線が、この左着陸脚を収める空間を通っているということです。

8:54(EST)
胴体中ほどの左翼と胴体の境目に設置された温度センサーの値が通常ではありえない数値を示します(この温度センサーは翼の上部に設置されているものです)。温度は5分間で60度まで上昇しています。逆に、反対側のセンサー(右翼上部)は通常値の15度までしか上昇していません。

※ここで興味深いのは、温度が上昇した左翼の温度センサーのすぐ内側、ペイロードベイ(貨物室)内の極低温タンクの温度センサーは通常値を示していることです。これはペイロードベイ内の温度が通常と同じ値だったことを示しています。

8:58(EST)
エレボンのロールトリムが上昇します。これはなんらかの原因で、左翼の空気抵抗が上がったことを示しています。これはタイルの破損か脱落を示唆するものかもしれませんが、はっきりしたことは分かりません。

ほぼ同時に、左着陸脚のタイヤ圧と温度計の数値も消失します。これは、タイヤそのものが失われたのではなく、計測器が機能を失ったことを示していると思われます。なぜなら、計測値の消失に若干の時間差があるからです。

8:59(EST)
再びエレボンのロールトリムが上昇し、エレボンが動作します。これは、左翼の空気抵抗の増加を打ち消すために、フライトコントロールシステムがシャトルを右へロールさせようとしていることを示していると思われます。

この直後、シャトルは通信を途絶します。



もう一つ、今回の事故と関係が深いとされているのは、1月16日のシャトルの発射時に起きた、外部燃料タンクからの剥落物がシャトルの左翼に衝突した事故です。発射の約80秒後に、最大20インチ(50cm)幅ほどの物体が外部燃料タンク(中央のオレンジ色のタンク)から剥がれ落ち、シャトルの左翼下面に衝突しています。この件については、その後数日間に渡って検討され、再突入に問題なしとの結論が出されました。

この2つの事故を結びつけるのは、早計かも知れませんが(軌道上のゴミの衝突の可能性も残されています)、もし、発射の際の剥落物がシャトルの右着陸脚を収めるドア部分に衝突して、大気圏突入時のシャトル腹部の温度が3000度を超えたとしたら、このような事故がおきる可能性があります。

着陸脚を収めている場所は、シャトルの中でも熱に最も弱い部分です。しかし、かつて行われた分析では、この部分のタイルが一枚失われただけでは、機体の破壊には至りません。何らかの構造的な破壊がなければ、このような事態が起きるとは考えにくいのです。

※ここに記載した情報は、筆者が上記サイトの記事を再構成したものです。誤読などの可能性が無いとはいい切れません。正確な情報が得たければ、原文を参照してください。

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いま分かっている事実はこれだけです。色々な憶測が乱れ飛んでいますが、まだはっきりしたことは何も分かっていません。とりあえず、NASAの正式な発表を待ちましょう。正確な情報はあそこからしか得られません。

「タイルが一枚でも失われたら・・・」と言っていた航空評論家もいました。1枚や2枚はがれたぐらいでは、燃え尽きたりしません。「耐熱タイルは爪で引っかくと傷がつくぐらいやわだ」と書いていた記事もあります。当たり前です、気泡を大量にふくんでいるから断熱効果があるんです。タイルを硬くしたら熱を伝えてしまいますし、なによりとても重くなってしまいます。一つ一つ反論するのは馬鹿馬鹿しいので止めておきますが、大手のメディアにも、ずいぶんいい加減な憶測混じりの記事が目立ちます。

ちなみに、シャトルが大気圏突入時に高温になるのは「空気との摩擦」のためではありません(ほとんどのメディアがこう書いていますが、これは嘘です)。これは「空力加熱」と呼ばれる現象です。空気中の物体の速度があまりに高くなると物体の前面で空気が逃げ場を失って急激に圧縮されます。このとき圧縮された空気が周りの空気と熱を交換することが出来ない状態になります(これを「断熱圧縮」と呼びます)。圧縮された気体中の分子は激しくぶつかりあい、その運動エネルギーを熱に変えます(ボイル・シャルルの法則ですね)。熱の逃げ場がありませんから、結果として温度がどんどん上がっていくことになります。これが、大気圏突入時のシャトルが高温になる理由です。「空気との摩擦」だけではあんな温度になることはありません。まあ、いいんですけどね。

(Feb. 04 2003 updated)

Feb. 03 2003
Columbia Lost 2003.02.03

ここに書かれている情報は、最新ニュースではありません。NASAはつながりにくい状態が続いているので、FloridaTodaySpaceFligntNowを見られることをお勧めします。

3度目の公式発表がありました。
シャトルは事故直前に大きく左傾斜しており、オートパイロットが姿勢を修正しようとしているときに通信が途絶えたということです。また、左翼の温度が通常の4倍もの数値を示していたことも明らかにされました。

これで、姿勢制御系にもトラブルが起きていた可能性が出てきました。姿勢の乱れが先なのか、温度上昇によるトラブルが先なのか、まだよく分かっていませんが、徐々にパズルのピースが出始めました。

FloridaToday記事
http://www.floridatoday.com/columbia/020203wing.htm

すでに、一部の乗務員の遺体も見つかっているようです。一方でシャトルの破片をオークションにかけようとしているばか者もいるそうな。ったく。


運用がちょっと心配なISSですが、昨日ロシアから補給用のプログレスが無事打ち上げられました。これで、とりあえず6月までは大丈夫です。ただ、今後の運用体制にどんな変更が出るのかはまだはっきりしていません。ソユーズで交代要員を上げて運用を続けるのか、あるいは全員降ろすのか。おそらくそのあたりの判断になるはずです。


米政府は宇宙開発関連の予算の増額を決めたようです。緊縮財政の安全面への影響を考慮、新機種開発も含めて予算を増額するとのこと。とりあえずは、いいニュースなんでしょう(今さらという感じが漂うのはいなめませんけどね)。

大統領が確約したとおり、有人宇宙飛行は止まらないはずです(もちろんある期間は凍結されるかもしれませんが)。それは、個人的な希望というより(もちろんそれもありますが)、純粋に政治的にアメリカがそういう国だからです。言い換えましょうか、あそこの政治は国民の「フロンティアスピリット」を最大限利用することで動いています。なにしろ、傷つけられたプライドを回復することに、一番情熱を注ぐ国ですから。

いつになるかは分かりませんが、アメリカは再び独自の有人宇宙飛行計画を発表して「勝利宣言」をするはずです。その時、どんな絵がかかれるんでしょうか。あるいは、日本はどういうスタンスを取るんでしょうか?なんにしても、大きく地図が書き変わるはずです。これは、夢や希望ではなく、高度に政治的な問題です。



サイトの趣旨からは外れますが、とりあえず、自分自身の記録としてウォッチを続けます。それ以外に、この喪失感とうまく折り合う方法が分からないんです。こんな所で、関係者でもなんでもない自分がぶつぶつ何か言っているのもおこがましいとは思いますが・・・。たぶん、しばらくロケットネタが続きます。ご了承ください(できるだけ他の話もしようとは思いますが)。

とりあえず、自分への宿題として、もう一度ゆっくり考えたいと思います。なぜ、私たちはあそこに行かなければいけないのか?なぜ、こんなにもあそこに行きたいと望むのか?人類の新たなフロンティア、なんてわけのわからないお題目に生命を賭してまで挑む理由があるんだろうか?いまは何もかもが陳腐に聞こえます。

それでも、宇宙飛行士たちはロケットに乗るでしょう。夢と希望を口にしながら。それは分かっています。
純粋に個人的な望みとして、ぼくは胸をはって彼らに「いってらっしゃい」と手を振りたい。そのための宿題です。
それが、ただの「ロケットフェチ」にできる、せめてもの弔いです。


(Feb. 03 2003 updated)

Feb. 02 2003
続続報

通信が途絶する寸前に、左翼のセンサーに異常が見られたとのNASAの公式発表があったようです。
左翼の各部に設置されたセンサーが次々に機能を失うという現象が数分前からおきていたとのこと。

打上げ時のタンクから剥落した破片がシャトルにぶつかった事故との関連が検討されていますが、
今のところ、はっきりとしたことは言えないようです。(15:25)

SpaceFlightNow記事
http://spaceflightnow.com/shuttle/sts107/030202leftwing/

打上げ時にシャトルの左翼にタンクの破片(氷か?)がぶつかる様子(FloridaToday)
http://www.floridatoday.com/columbia/debrisvideo.htm

FroridaToday特集ページ
http://www.floridatoday.com/columbia/

(Feb. 02 2003 updated)

NASA長官オキーフ会見全文(PDF)
http://www.nasa.gov/columbia/Okeefe.pdf

大統領会見全文
http://www.whitehouse.gov/news/releases/2003/02/20030201-2.html

NASAにコロンビア事故の特設サイトが出来ているようです。
http://www.nasa.gov/columbia/

(Feb. 02 2003 updated)

Feb. 02 2003
雑感

今回、打上げ時に外部燃料タンクの耐熱タイルが剥離し、シャトル本体に接触したという事故がありました。当初、この事故はほとんど影響がないとの発表がありましたが、今回これが引き金になった可能性があります。

また、シャトルが通常より高い高度から突入を開始しており、突入角度がきつかった可能性があるとのことです。当然ながら、大気の圧縮熱が通常より上がりますから、機体への負荷が高くなるでしょう。

もしかしたら、この二つの原因が重なったことによる事故なのかもしれません。

報道では「爆発」と表現されていますが、映像を見るかぎり爆発ではなく、機体に何らかかの負荷がかかったことによる空力的な破壊だと思います(一気にではなく、徐々にばらばらになっていく様子がはっきりと映っています)。


チャレンジャーの時は、2年8ヶ月の間、有人宇宙飛行が凍結されました。今回も、シャトル計画、国際宇宙ステーション計画などに大幅な変更が出るはずです。日本が予定していたモジュール「きぼう」も打ち上げはかなり先になるでしょう。部品劣化などもありますから、そのまま置いておくわけにも行きません。本当に打ち上げられるかどうかも微妙なところです。

スペースシャトルはあと3機ありますが、このまま運用されることは無いでしょう。国際宇宙ステーションは、今後しばらくの間ロシアのソユーズとプログレスに頼ることになります。ただ、この機体も製造ラインが止まっており、存続が危ぶまれている状態です。

国際宇宙ステーションそのものも、補給のかなりの部分をシャトルに頼っていますから、維持管理はかなり難しくなるでしょう。プログレスだけでは間に合わないかもしれません。今回の事故によって、ステーション計画から脱退する国が出てくれば、最悪計画の中止の可能性もあります。唯一、元気なのは今年10月に独自の有人宇宙船を打ち上げようとしている中国でしょうか。



悪夢のようです。つい先日、17年前の事故の話を書いたばかりでした。ぼくたちは、あそこに行ってはいけないんでしょうか?いつもなら、そうじゃないんだと叫ぶところですが・・・。

いま、人間があそこに行く方法は、たった2つしかありません。スペースシャトルとソユーズだけです。スペースシャトルは20年、ソユーズは30年前の設計です。NASAは次世代機の開発を進めていましたが、資金超過のため計画を中止しました。新機種開発は望み薄です。

また、モラトリアムがやってきます。今度はどれくらいの長さになるんでしょうか。(3:00)



STS-107乗員

船長:
リック・D・ハズバンド(Rick D. Husband)

パイロット:
ウィリアム・C・マクール(William C. McCool)

ペイロードコマンダー:
マイケル・P・アンダーソン(Michael P. Anderson)

ミッションスペシャリスト:
デビッド・M・ブラウン(David M. Brown)
カルパナ・チャウラ(Kalpana Chawla)
ローレル・クラーク(Laurel Clark)
イアン・ラモン(Ilan Ramon)※初のイスラエル人宇宙飛行士

(Feb. 02 2003 updated)

気象レーダーが捉えたシャトルの破片(SpaceFlightNow)
http://spaceflightnow.com/shuttle/sts107/030201columbia/radarimage.html

(Feb. 02 2003 updated)

Feb. 02 2003
続報

情報が錯綜しており、何が正しい情報なのか分からない状態です。

通常の再突入では、着陸20分前から12分前ぐらいが最も高温になります。今回事故が起きたとされているのはこの時間帯。突入角度のミスなどによって限界以上の熱がかかったか、なんらかの原因で姿勢を乱し、機体に負荷がかかって分解したと思われます。

上空6万メートル付近で事故がおきたとの情報が正しければ、まだ速度は時速2万Kmを超えています。この速度で安全に脱出する装置はスペースシャトルには備えられていません。

コロンビアは通常より高い高度から突入をしようとしていたらしい、との情報も流れています。

打上げ時に外部燃料タンクに損傷があったとの情報もあります。ただ、損傷を受けたのが外部タンクだけだとすれば、切り離された後なのでほとんど関係が無いはず。本体に何らかの影響があったとすれば、そのかぎりではありませんが・・・。

破片が見つかったとのニュースが入っています。(01:10)


(Feb. 02 2003 updated)

忘れないで下さい、コロンビアには6人のアメリカ人宇宙飛行士と、初のイスラエル人宇宙飛行士の7人が乗っていました。可能性はとても少ないかもしれませんが、彼らが生きていることを祈りたいと思います。

(Feb. 02 2003 updated)

NASAのトップページが臨時のリリースに変わりました。最新の情報はここに掲載されます。(1:30)
http://www.nasa.gov/index.html

Feb. 02 2003
関連URL


Feb. 02 2003
事故?

スペースシャトルコロンビアが、大気圏突入寸前に交信が途絶え、空中爆発した可能性があるとのニュースが流れています。詳細は分かっていませんが、何らかの事故がおきたことは確実なようです。

ニュースでは煙を引きながら幾つかの破片に分かれて落下する物体の映像が度々流されています。(0:10)

(Feb. 02 2003 updated)

by isana kashiwai