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Feb. 10 2003
Columbia Lost 2003.02.10

シャトル機体から物体離脱 宇宙ゴミか隕石の可能性も
http://www.asahi.com/international/update/0210/006.html
スペースデブリの可能性も出てきたようです。シャトルの打上げ翌日に、軌道上でシャトルから秒速5kmで遠ざかる物体がレーダーに映っていたとのこと。ただ、これは廃棄された水かもしれないとのことなので(その割には動きが変らしい)、まだはっきりとしたことは分からない状態のようですね。

これを機にスペースデブリついて、もう一度ちょっぴり解説。

スペースデブリというのは軌道上のゴミのことです。軌道上には天然の隕石などだけでなく、打上げ時に切り離されたロケットや、稼動を終えた衛星なども多数浮遊している。これをスペースデブリと呼び、近年ずいぶん問題になっています。

軌道上の物体というのは秒速7.5kmほどの速度で飛行しています。かりに正面衝突したとすると相対速度は秒速15km、時速5万4000kmにもなる計算です。ある計算では、80gの破片は1kgのTNT火薬とほぼ同じ破壊力をもつという試算もあるようです。現実的な保護方法は今のところ「避ける」以外にはないのが現状ですね。

現在、軌道上の人工物体は2000t以上、そのうち95%はすでにミッションを終了し、コントロールされていません。人工衛星も放っておくと僅かな空気抵抗で高度が下がったり、「摂動」という現象で軌道がふらついたりするため軌道修正が必要です。多くの場合、この軌道修正のための推進剤が切れるまでが人工衛星の寿命になります。

このような人工物体はカタログ化され、衝突の危険がある場合には打ち上げを延期したり、コントロール可能な方の衛星の軌道を変更したりという対策が取られていますが、当然ながら、すべての破片がカタログ化されているわけではありません。事故の確率は100万分の1といわれていますが、もうすでに旧ソ連の通信衛星が被害にあったと見られています。カタログ化されない微細なデブリの衝突は日常茶飯事で、実際、これまでもスペースシャトルの機体にも細かい衝突跡が多数発見されていました。

最近、各国でもなるべくゴミを出さないようにロケットを工夫するといった動きが出はじめており、国際的な基準をつくろうという動きもあるようです。回収についても研究は進んでいますが、一つ一つデブリとの軌道速度を合わせてランデブーして回収するとなると、莫大な費用と手間がかかるため、いまだに目処は立っていません。

このデブリ問題は、今後宇宙開発が進めば進むほど深刻化してくるはずです。
もし、今回の事故がデブリによるものだとすれば、事実上避けようのなかった事故ということになるでしょう。デブリを弾き返すほどシャトルを頑丈にするというのは非現実的です(おそらく、重量増で現行のエンジンでは飛ばなくなるはずです)。

まあ、今回の事故で明らかになったシャトルプロジェクトの最大の問題点は、バックアップの有人飛行システムが用意されていなかったことにあるような気がしますが、これについては、長くなるのでまた今度。

スペースデブリについては、以下の本がお勧めです。
八坂 哲雄『宇宙のゴミ問題―スペース・デブリ』裳華房 ポピュラーサイエンスシリーズ(amazon)
幸村誠『プラネテス』モーニングKC(amazon)※コミックです

(Feb. 10 2003 updated)

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を、NASAのサイトにMissionStatusが上がってますね。リンク切れしてるけど(リンク先がfile://〜になってるよ)。おそらく、下記のページです。
http://www.nasa.gov/columbia/COL_statusrepts.html

ここから、これまで書かなかった細かい情報についてフォローしましょう。

調査委員会について。
これまでNASAの開発チームが主導で行われていた調査ですが、Columbia Accident Investigation Board (CAIB)に主導権が移っています。今後、記者発表もこちらのメンバーが手動で行われることになるようです。ディトモアさんご苦労様(いや、彼の仕事はまだ終わったわけじゃないですけど)。

国際宇宙ステーション(ISS)について
6日にちょっとだけ触れた、ステーションの高度維持についてですが、現在補給のためにステーションに接続されているプログレスを使って今週行われるようです。とりあえず、よかったですねえ。あとは、交代要員問題ですが・・・。

(Feb. 10 2003 updated)

by isana kashiwai