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Apr. 23 2003
Columbia Lost 2003.04.23

どうやら、事故原因がほぼ特定されたようです。情報のアップデートをしておきましょう。

■事故原因をほぼ特定
http://spaceflightnow.com/shuttle/sts107/030420scenario/
事故調査委員会が提示したシナリオは以下の通り。

1.打上げ時に外部燃料タンクから断熱材が剥落し、シャトルの左翼前縁部に衝突
2.軌道上で、シャトルの主翼前縁部のパーツ(RCCパネル)の接合部をつなぐ部品(T-Seal)が脱落
3.再突入時の高温ガスが、部品が脱落した隙間から流入
4.熱による内部/外部破壊が進行、破壊に至る

軌道上で脱落したと見られるパーツへのレーダー照射実験の結果がほぼ出揃い、回収された破片の分布から、この結論に至ったようです。各段階での詳細なプロセスについては、今後の分析を待つことになりそうです。

打上げ時に脱落したと見られる断熱材は、シャトルの機首と外部燃料タンクを接続するパーツの根元のものの可能性が高いようです。これまでに風洞実験などの結果から、かなり力がかかることが明らかになっており、以前のシャトルフライトでもここから断熱材が剥離していることが指摘されています。
参考)4月1日のCAIB発表資料(議事録を読まなくても、この資料を見れば大体分かります)
http://www.caib.us/news/press_briefings/pb030401-present-foam.html

興味深いのは、左翼前縁部の破片回収場所のプロットですね。
参考)4月22日CAIB発表資料(画像直)
http://www.caib.us/images/press_briefings/pb030422/hallock/Slide5.jpg
明らかに右翼RCCパネルの9番を中心に、ほぼ順番にパーツが脱落しています。

軌道上で脱落したパーツはクローズアウトパネルだとされていましたが、回収された破片に含まれていたため、新しい候補としてT-Sealが検討されていました。これは、各RCCパネルの間に設置され、RCCパネル同士を接合し隙間を埋める役割を果たすパーツです。また、衝突位置は、RCCパネルの5番から6番の位置とされていましたが、その後の解析で8番から9番にかけての位置とされています。

パネルの位置は、以下の画像を参照してください。
参考)4月15日CAIB発表資料(画像直)
http://www.caib.us/images/press_briefings/pb030415/hubbard/Slide3.jpg
参考)T-Sealの画像(画像直)
http://www.caib.us/images/press_briefings/pb030415/turcotte/Slide11.jpg


■NASAへの第一回目の勧告
http://www.caib.us/news/board_recommendations/br030417.html
4月17日に事故調査委員会は、シャトルの飛行再開への条件となる最初の勧告(Recommendation)を行いました。
その内容は以下の通りです。

勧告 1
飛行再開の前に、NASAは全てのRCCシステムの構造的な強度が保たれているかどうか総合的な検査を開発し、実行すべきである。また、この検査プランには最新の非破壊検査技術を取り入れるべきである。

勧告 2
飛行再開の前に、NASAは米国国家地図作成局(NIMA)との協定を改訂し、軌道上のシャトルの撮影を各シャトルフライトの標準的な要求とするべきである。


2番目はちょっと説明が必要かもしれません。NIMA:The National Imagery and Mapping Agency(http://www.nima.mil/)はURLを見れば分かるように軍に属する組織です。サイトにも書かれているように、国家安全保障を支援する目的で衛星軌道上から、地表の観測をすることを主目的としています。平たく言えば、スパイ衛星の管理組織ですね。
つまり、勧告2はスパイ衛星を含む軍のネットワークを利用して軌道上のシャトルを撮影し、安全確認をするようにという勧告とほぼ同義です。


■今後の動き
4月30日には破片の回収が打ち切られ、回収された破片、各種データの分析をもとに詳細な報告書が夏の終わりごろには提出される予定です。

報告書の内容は以下の通りです。

・直接的な原因(direct cause)
・事故を引き起こした要因(contributing factors)
・根底にある原因(root causes):事故原因に関する文化的、歴史的、予算的背景
・重大な観察事項(significant observations):NASAに報告すべき管理や安全の問題を指摘するもの。

この報告書はおそらく一般に公開されるはずです。
参考)チャレンジャー事故報告書
http://science.ksc.nasa.gov/shuttle/missions/51-l/docs/rogers-commission/table-of-contents.html


(Apr. 23 2003 updated)

それから、余談ですが、事故直後の記者会見に度々登場した、シャトルのチーフエンジニア、ロン・ディトモア氏が辞任するそうです。シャトル事故の責任をとってということのようですが、もともと今期を持って現職を退く予定だったので、それが少し早まったということのようです。

おつかれさまです、Mr.ディトモア。

(Apr. 23 2003 updated)

もはや、ここまで追いかけてきた人にしかわからない内容になってますが、どうぞご容赦ください。
いつかきっと、ちゃんとしたまとめ/解説ページを作ります。

(Apr. 24 2003 updated)

by isana kashiwai