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May. 12 2003
Columbia Lost 2003.05.12

5/7、事故調査委員会(CAIB)の定例の記者発表がありました。今回は、事故に至るまでのシナリオが画像つきで紹介されていました。せっかくですから、ダイジェストして再掲しましょう。

■打上げ時
打上げ81秒後に、外部燃料タンクバイポッド部から断熱材が脱落、コロンビア号左翼RCCパネル#5から#9に衝突。(軌道解析から#7〜#8の可能性が高いと思われます)


バイポット部というのは、上記のようにシャトルの機首部分でタンクと接続されている所です。ここは、風洞実験からかなりの負荷がかかることが確認されており、これまでの飛行でも、しばしば断熱材の脱落が見られた部分です。


衝突したと見られるエリア。これは打上げ時の映像を3次元解析することによって得られた軌道です。後述する、高温ガスの侵入部分とほぼ一致しています。この主翼の前縁部分(この絵では薄いグレーの部分)をRCCパネルといい、ナンバリングしてあるように、幾つかのユニットに分かれています。衝突が始まっているのが#6。#7、#8にかけて断熱材が衝突したようです。

■軌道上
16日間のミッションの間、クルーの報告や、シャトルのテレメトリからは異常は発見されませんでした。2日目に軍のレーダーに写っていた、シャトルから離れていく物体は、T-シールもしくはRCCパネルの一部と見られています。T-シールというのは、RCCパネルの継ぎ目を埋めるパーツです。

■大気圏突入時
シャトルは、#5〜#9のRCCパネルかT-シールに損傷がある状態で、大気圏に突入したと考えられます。このうち最も可能性が高いのは#8および#9。回収された破片でも、この部分が超高温の熱に晒されたことが確認されています。


まず、RCCパネルに高温ガスが侵入します。8:44:09〜8:49:00の間と考えられています。


これは、シャトルの翼前縁部を輪切りにしたもの、左側が進行方向です。湾曲しているのがRCCパネル及びT-シールと呼ばれるパーツ。太い矢印が示すように、まず、RCCパネルと翼本体部分の間の空間に高温ガスが侵入したと考えられます。
その後、前縁部桁隙間から翼内部に進入。上の図では、細い矢印です。


高温ガスの主な侵入経路。侵入した高温ガスは、シャトルの翼内で、各種のケーブルを焼き切りながら広がっていきます。温度上昇により、翼の変形が進み、タイルが外れたり、接着剤が溶けるなどの現象が始まっていたと考えられます。


これは、上図での星マークを機体後方から前向きに撮った写真。8:52:16にはここに高温ガスが流入し、ケーブルを焼ききります。これが最初にテレメトリーに記録されたエレボンのセンサーの機能消失を引き起こしたと考えられます。

やがて、流入した高温ガスの影響がどんどん広がり、タイルやパーツの剥落が進み、翼の空気抵抗が増加していきます。8:53:46には最初の破片の脱落がカルフォルニアで観測されます。

やがて、8:56:16、上図、細い矢印が示すような経路で、ガスが主着陸脚収納部に侵入、収納部内部のセンサー異常を引き起こします。8:58:56には全ての左着陸脚の圧力および温度データが消失します。

左翼の損傷はさらに進行。8:58:09にはエレボンが動作し、8:59:29には右スラスター4機が噴射されます。これは、かなり翼の変形が進み、空気抵抗が増したことで、シャトルの姿勢が左に傾いていたことを示します。

8:59:32には、地上からのテレメトリー受信が途絶え、9:00:14には搭載されたデータレコーダーの記録も失われます。

9:00:23には、地上からのビデオ映像により機体の破壊が確認されています。


細かい部分はまだ不確定な点はあるものの、最終報告書を記載されるであろう事故のプロセスはおおむね上記のようになるはずです。今後、さらに細かい侵入経路や破壊のプロセスなどが明らかになるでしょう。

(May. 12 2003 updated)

by isana kashiwai