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Jun. 27 2003
Jacob's Ladder 2

このエレベーターは宇宙へ参ります! ついに「Space Elevator」建設へ始動(MYCOM PCWEB)
http://pcweb.mycom.co.jp/news/2003/06/26/15.html
米国LifePort社が米国宇宙協会が進めている軌道エレベーター建設に参加を表明というニュース。運行開始は2018年4月12日を予定しているようです。ホントかね。

さて、このニュースどうやらちょっと裏がありそうです。そう、つい3ヶ月前にもまったく同じようなニュースをJunyard Reviewで紹介した覚えがありますね。あの時参照したHotwiredの記事には、「NASA先端構想研究所がHighLiftSysmtems社に50万ドルを出資」とありました。15年後、洋上プラットフォームからカーボンナノチューブのケーブルを延ばして・・・と、コンセプトがそっくりなのにプレイヤーが全然違います。

LifePort
HighLiftSysmtems

どうやら、LifePort社は、HighLiftSysmtems社の共同設立者である、マイケル・レインが、同社を辞めて新たに作った会社のようです。ハイリフトシステムズのトップページには、「HighLiftSysmtemsの共同設立者マイケルレインが作ったLifePort社は、資本関係を含めうちとは一切関係ありません」としっかり書かれています。「商業活動がしたいならLifePortへどうそ」とのこと。ちょっと、きな臭い感じがしますねえ。

逆に、マイケルレインはインタビューでこういう発言をしています。「NASAの役割は終わった、これからは研究ではなく、商業利用を見据えた開発をしなければならない」「ハイリフトシステムズは初期研究に寄与したグループの一つ、ライフポートが軌道エレベーターを現実にする」うわぁ、ろ、露骨だ。
Yahoo Finace/Google cache

LifePortのマイケル・レインはボストン大の経営学部を出て、技術開発やファイナンシャルサービス、軍需産業の分野でマネジメントをやってきたゴリゴリのビジネスマン。一方のHighLiftSystemsのブラッドレー・エドワーズ博士は、元々ロスアラモス国立研究所に在籍していたゴリゴリの研究者で、軌道エレベーター研究の第一人者。一人のビジネスマンと一人の研究者が出会い、一緒に会社を興し、見解の相違から袂を分かつ。蓋を開けてみれば、笑っちゃうぐらい典型的なベンチャー企業の崩壊の図です。

大抵のお話は、この後、「技術者の会社は研究ばかりで具体的な成果が出せず、ビジネスマンの会社は大言壮語ばかりで具体的な成果が出せずに、お互いの足を引っ張ることばかりに終始して、挙句の果てに両方とも投資家から見放される」と続きます。この件に関しては、そうはなって欲しくないものですねえ。

軌道エレベーターの実現のためには、超えなければならない技術的ハードルも、資金的なハードルもあまりに巨大です(だから15年じゃ難しいんじゃないか、っていうのは以前も話しましたね)。そういう意味で、この2人が別れてしまったのはちょっと残念です。両社のサイトのFAQにはほとんど同じ文章が掲載されています。2人が共同で仕事をしていた頃に積み上げたものでしょう。上のような状況を知ると、ちょっと物悲しい感じです。

軌道エレベーターは、実現すればまさしく革命的な宇宙輸送技術になることは間違いありません。どういう形にせよ、プロジェクトが少しでもいい方向に進むことを、切に願います。

(Jun. 27 2003 updated)

by isana kashiwai