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Jan. 20 2004
火星の歩き方

今回は、ソフトウェアを紹介しましょう。
Maestro (NASA)

これは、NASAのジェット推進研究所が火星探査ローバー「スピリット」を制御するために使用しているソフトとほぼ同じもの。探査機から送られてきた画像を解析したり、ローバーの行動計画を組み立てて送信したりすることができます(もちろん、我々の手元にあるものは実際のローバーに命令を送ることはできませんが)。

週に一回のペースで、上記のサイトに新しいデータが追加されるようです。使い方がよくわからなくても、「Conductor」というナビゲーションがついているので、クリックするだけで、その週に追加された内容を一通り見ることができます。

動作環境は以下の通り。メモリ256MB以上、ハードディスクの空き容量100MB以上、ペンティアム3もしくはG3、3Dアクセラッレーター推奨。Windows、MacOSX(10.3)+Java3D、Linux、Solarisで動作します。

導入方法だけでも書いておきましょうか。
各プラットフォームのMaestro本体をダウンロードして、インストール。ついてに、同サイトに最初のデータが上がっているので 「Update」から各プラットフォーム用のデータをダウンロードしてインストール。起動したところで出てくるメニューで、とりあえず一番上のアプリケーションにくっついてくる「ISIL test facility」をクリックして、あとは最前面の小ウィンドウ「Conductior」に出てくるガイダンスを読みながら順番に見ていけばだいたい何をやるソフトなのかはわかるはず(基本的にNextボタンを押しているだけで、ソフト側が勝手に動きます)。だいたいわかったら、いよいよ入り口から「Go to Sporit's Landig site」を選んで火星に。

3Dデータを処理しているために、かなり動作は重いですし、決して洗練されたインターフェイスとは言えませんが、これほどまでに想像力を刺激するソフトは久しぶりです。


先にも書いたように、このソフトはNASAのエンジニア達が火星ローバーを制御するのに使っているものとほぼ同じものです。表示されたデータは、ローバーから送られてきた生データ。ローバーの行動計画を作成し、火星に向けてアップロードする機能も持っています。

このソフトの主要な機能の1つは、ローバーが撮影した画像から3Dのデータを作成し、現在ローバーがいる場所の3次元地図をつくることです。もちろん3Dデータですから、自由に回転させて表示することもできますし、そのデータ上でターゲットを設定し名前をつけると、ある写真から他の写真に移ったときでも、その位置情報が保持されます。マッピングされるデータはモノクロですし、プレス向けに発表されている見栄えのいいデータではありませんが、各データから感じるこの「立体感」、確かにそのターゲットがその場所にあるという臨場感はなかなかのものです。

ぜひ、想像力をフル回転させて、送られてきた画像と3Dデータを眺めてみてください。これは、現実の火星を歩くためのソフトです。このソフトの機能の多くが、送られてきたデータを統合して、「ローバーのいる場所」の空間を直感的に把握するためのものです。

あそこに見える石は、数千万キロ彼方の火星の大地に現実に存在します。ほんの数歩先にある、何の変哲もない石ころ。複数の画像で、再構成された3D画像でその石ころを眺めながら、それを拾い上げるところを想像していると、何とも言えない高揚感を感じます。いつの日かあれを本当に自らの手で拾い上げる人がいるかもしれません。でも、今は間違いなくこのソフトから見える光景が、一番火星に近い場所です。

(Jan. 20 2004 updated)

by isana kashiwai