>>Back
January 2002

2002.1.29 火

「選曲中・続き」
------------------------------------
ようやく芝居の本番が終了。
見に来て下さった方々、どうもありがとうございました。

実は書きかけでアップしてない文章があったので
選曲話のつづき〜仕込みまで↓

----------------

曲を選ぶ時は、台本を読みながら、通し稽古でみた台詞のテンポと
声のトーンを思い出す。
そうやって浮かんだ最初のイメージを大切にする。
「明るい」「もの悲しい」「速め」「あおり系」「隙間を埋める音」
「癒し系」etc。
それから実際にCDを聴きはじめる。すごい勢いで飛ばし聴きをする。
大体一曲10秒くらいずつ。でもそれで曲の概要はつかめる。
聴いているうちに、あ、ここはこの曲でもいいじゃん、という風に
最初の印象を訂正していくことができる。
後は勢い勝負(笑)。

そんな風に柔軟に聴ければいいが、最初のイメージにとらわれすぎて、
イメージ通りの曲を探すことに執着してしまうことがある。
けっこうよくある。

まー曲なんて実は結構なんでもいいのだが(極論)。
ついついこだわってしまう。

曲のテンポ、メインの楽器の音色、楽器の多少、それから曲の展開。
これら全てが理想通り、なんて曲はめったにない。
イントロはいいのだがサビへくると楽器が増えて盛り上がり過ぎで
合わなくなるとか、全体の流れはいいのだが展開に時間がかかりすぎ、
ということがよくある。
仕方がないのでひたすら編集する。稽古にストップウオッチを持って
行き、何秒あたりで曲が展開すると美しいかを計る。それに合わせて
編集する。
腕と作業環境のクオリティが上がってありがたいのは、「どうしても
編集できない曲」というのがほとんどなくなったこと。
やりたいこととできることのギャップがないのは本当に幸せだ。

ちなみに今回30曲決めるために聴いたのは・・・100枚、1000曲位?
まあ効率はこんなもん。

そうやって選んだ曲達を二枚のMDにまとめる。
MDを使っていると言うと、MDなんて音が悪いだろう、CD-Rにすれば
いいのに、としったかぶりをする人がけっこういる。
が、芝居の音効に求められるのは、トラブらずに確実に音を出すこと
であって、音のクオリティではない。
なんといっても今まで芝居を何十本(しまった、手元に資料がないから
数が正確にわからん)何百ステージとこなしてきて、MDがトラブった
のはたった一度だけだから。
しかもその1回も、使い古したディスクがある時突然読み込めなくなった、
というもので、本番用のマスターディスクでは一度もトラブってない。
だからMDを使うことには、私は全く抵抗がない。

そしてそのマスターディスクと自分のMDプレーヤー、ミキサーを持って
劇場に行く。
まずスピーカーを自分好みの場所に吊り直す。
舞台美術や照明の仕込みの合間をぬって、ほんの十分位で音のバランス
を決める。
音はいつも後回しだ。目に見えるもの優先。舞台でもテレビでも同じ。
最小・最大・アベレージの三種類のゲージ(音量)を決める。
その3つを基準に、きっかけ合わせ(役者・照明・音響のタイミングを
合わせる稽古)に突入する。
後はその場でゲージをとっていく。
自分のミキサーを持ち込むと楽なのは、手がゲージを覚えていること。
ゲインとアンプ側の設定に時間をかけ、0dBの位置の音量さえきちんと
決めてあれば、あとは手が勝手に動いて適正なゲージを保ってくれる。
たとえ台本に「-20dBでカットイン」と書いてあっても、今日この役者
あまり声でてないよな、と思った瞬間に、手は勝手に-23dBにフェーダー
をセットしている。そして音を出してみるとちょうどいい音量。
手(というか耳)の方が理性より先に動く。ちょっと感動的ですらある。

続きはまた次回!

------------------------------------
BGM:Acid Jazz Meets FreeSoul2



2002.1.16木

「エコー飛ばし」
------------------------------------
ただいま芝居の選曲中。

テレビばっかりやってきて、久しぶりに芝居の世界に戻ると
色々とまどう。たとえば。
・・・芝居は毎回尺が違う。
(尺=時間の長さ。これって一般用語??)
当たり前じゃ、と思ったでしょう。
しかしこの数年間、絵(映像)にあわせて曲が終わるように
編集することに命をかけていたのだ。

効果がよく言う台詞↓
「10フレも足りないよー」「エコー長くして稼いじゃえ!」
「ここ1音切ればはまるな」etc

それは、10フレ(1秒のたった1/3!)足りなくても格好悪い
というえらい細かい世界だった。
なのにちゃんとケツがついて(コーダがついてきちんと終わって)
当たり前だし、ケツがどうしてもつかなければ、別の方法で曲を
終わらせるしかない。

そんなこと可能なのかって?
「・・・(エコーかけて)飛ばしちゃえー」
そう、エコー飛ばしという強い味方がいるのだ。
曲を任意の箇所でぶちっと切り、その切り口に深めのリバーブを
かけてごまかす、というわけ。
が、やりようによってはめちゃくちゃ印象的に格好良く曲を
終わらせることができる。しかしこれも技がいる。

アナログなやり方:
まずCDをAuxでリバーブのフェーダーに送っておく。
CDで曲をかけつつ、テレコを回す(録音する)。
飛ばしたい音の所でCDのフェーダーを一瞬あおり、
それを追いかけるようにリバーブのフェーダーを上げ、
CDのフェーダーは素早く落とす。
(以上、もちろん一瞬の出来事)

デジタルなやり方:
Macに曲を取り込む。
(以下、ProTools上で)
飛ばしたい音の所で曲を切る。
リバーブをかける。

・・・めちゃくちゃ大雑把な説明で申し訳ない。

慣れると、どの音で飛ばすか決めずにビデオとCDを走らせて、
両方の良き所で(この「良き所で」つーのも一般用語じゃあ
ないよなあ)飛ばす、ということができるようになる。
そう、同じ飛ばすのでも、飛ばしやすいフレーズというのが
あるわけ。それを見極めないと格好悪い。そこはセンス。

そんなこんなで、「曲を終わらせる」ことについつい執着して
しまう。長ゼリ終わりにBGMの終わりがばっちりあっていたら
ぞくぞくするじゃーないですか。

ま、無理だけどね(涙)。

つーか、逃避してないで選曲しろって??

------------------------------------
BGM:La Maison 002



2002.1.9水

「解体癖」
------------------------------------
ねじが好きだ。
ドライバーで下向きに軽く力を入れつつくるくる回していく。
おさるのようにいつまでも回していたくなる。

ストップウオッチを解体した。
ボタンを押す度にぴっぴっいうのがうっとおしいので。
というか、音がすると芝居の通しの時に使えない。

ねじを外す。
裏蓋を止めている細いねじを、一つゆるめたら次はその
対角線上、というふうに、どれか一つ、どこか一辺が急激に
外れたりしないように、バランスよくゆるめる。
ただただ「バランスよく」ということに集中する。
楽しい。

小学生の頃、初めて解体したのは目覚まし時計だった。
ある日、とってもばらしたくなったので、ばらした。
箱を用意して、「バランスよく」外したねじを入れていく。
秒針までばらばらにして、とても満足した。
さて組み立てるのがスリリング。
自慢じゃないが機械はまったくわからない。
あっちを押さえ、こっちをひっぱり、ごわごわと全部のパーツ
をはめて裏蓋をかぶせる。
原形を取り戻すとほっとする。
そこからはまた楽しい。ひたすらねじをしめていく。
そうやって元に戻った目覚まし時計は、どこか前と違う。
見た目は全く同じなのに、どこかごわごわしている。
ちょっと面白い。

そうやって今までに解体したもの。
置き時計×2、MD、CD(ポータブル)×2、シンセ、
ビデオ、アンプ…あとは忘れた。
あ、やっぱり家電製品ばかりだな。

ポイントは、「直す」じゃなくて「ばらすだけ」なこと。
いや、直ったものも多々あるが。

今回のストップウオッチの場合は、裏蓋を外してぱっくり
半分になった状態でボタンを押したら音がしなかったので、
裏蓋に入っている金属板を絶縁してまた蓋をして終わり。
めずらしくちょっと役にたったばらしであった。

------------------------------------
BGM:V.I.P Lounge(VirginMegaStore Paris SelectCD)



2002.1.1火
「あけましておめでとうございます」
------------------------------------
ひさしぶりの更新です。
ほんのしばらくですが海外逃亡していました。
飛行機が大幅に遅れ、成田についたのが昨夜22時。
滑り込みセーフで自宅で除夜の鐘を聞きました。

今年1年を暗示するような年明け・・・?

というわけで今日もメモ。

----------------
「CD」
一応商売道具仕入れに。


「イタリアでイタリアのクラブもののCDを買う!」というのが、今回の旅行の
目玉の一つ。
去年の夏、一番仕事が忙しかった時に、イタリアものにはずいぶん助けられ/
なぐさめられたので。ま、表敬訪問ってやつですね(意味不明)。

で、行きました。ミラノのドゥオモ前のVirginMegaStore。うーん、ミーハー。
連れを放り出してどっぷり沈没。

「地元でしか買えないレアもの!」みたいのを狙っていたのだが、やはりそこは
繁華街しかも大手Virgin、ごくごくノーマルな品揃え。
(後でちょっと町外れの中古CD屋に行ったが、外国ポップスものばかりだった。
やっぱり時間かけて歩かないとダメか・・・)
一応理性が残っていたので1時間半位で切り上げ、買ったのはたった3枚。
・・・リラで見るとゼロいっぱいで高そうだから思いきって買えなかったんだい。

↑ちなみにパリに移動してから大後悔することになる。パリはCD高い。

でもいいのがあった。今度レビューに書きます。

----------------
「バレエ」
実は初体験


パリのオペラ・バスティーユ(新しい方のオペラ座)で"La Bayadere"を見た。
筋などの詳しい説明はまた後日として、とりあえず感想。

ぎりぎりになってからチケットを取ったので、7ランクのうち下から2番目の席に
なってしまった。なんと6階建ての6階、後ろから2列目。うぎゃー。
でも割にセンター寄りだし、まあ雰囲気だけでも、と思って出かけて行った。

結論。腐ってもさすがはフランス、オペラ・バスティーユ。
遠すぎて踊り手の体温は届かないが、舞台全体がよく見える。
世界観に埋もれたいタイプの観客には向かないが、演出的な視点で見るのが好き
な人にはまあ十分と言える席。

音はよく届く。音圧はこないけれど音色はよくわかる。
とくに三幕のヴァイオリンソロ!
オケピットから天井まで細い細い蜘蛛の糸をはって、それにゆっくりきらきらと
光を当てていくような繊細な音。
渋ーい親父が淡々と弾いているのに、えもいわれぬ色気がある。

踊り手もオケも超一流!では全然なかったし、金管が下手だとか群舞が技量不足
だとか(いや普段見ないのでわからないだけであんなもんなのか?)色々あった
が、とてもいい体験でした。

----------------
「年賀状」
すっかり私信になっている


旅行中に頂いたメール、今日届いた年賀状などのお返事は、できるだけ
早く出します。すみません。

------------------------------------
BGM:Silvercity-Bob Meets Acapulco11




>>Back