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Aug. 2002

2002.8.20火

「大勘違い大会」
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ひまなのでピアノを弾く。

ずいぶん弾いてなかったが最近また独学で始めた。
今練習中の曲は「トルコ行進曲」byモーツアルト。
ずいぶんレベルが下がったもんだなおい>自分
小4の頃弾けた曲じゃないか。

あの頃は鍵盤を叩くと音が鳴るのが嬉しくて嬉しくて、「音楽」と
いうよりも、ただ「音」が大好きだった。幸せな「音」との蜜月。
一日ピアノを弾かないと文字通り情緒不安定になった。
ただのピアノバカだった。

小3の時ピアノの先生に連れて行ってもらったコンサートで、
ガーシュインの"Rhapsody in Blue"のオーケストラバージョンを聴いた。
人生が変わった。

20世紀前半に活躍したアメリカの作曲家、ガーシュインは「クラシックに
ジャズのテイストを持ち込んだ」最初の人と言われている。
それまでクラシックしか聴いたことのなかった小学生の耳に、その複雑な
ハーモニーとクールなリズムは大ショックだった。
コンサートの帰り道、ずーっと「あー」とか「うー」とかうなり続けて、
先生に笑われた。
あんなに何かに動揺したのは初めてだったんじゃないかと思う。
「感動」する余裕すらない、もっと深い何か。「動揺」。

先生がラジオでエアチェックした"Rhapsody in Blue"のテープをくれた。
アンドレ・ワッツという人が弾いたピアノ・ソロバージョン。
それがオーケストラよりもかっこいい。シャープな音、タイトなリズム。
ピアノ・ソロ!
こいつが弾けてなんで自分が弾けないんだ!

ピアノバカの目標は決まった。

「次の発表会で"Rhapsody in Blue"を弾く!」と宣言したチビを見て、
笑いとばさなかった先生は、本当にいい人だった。
だってねえ。30ページに及ぶ、本来はオーケストラとピアノソロの、
アメリカ音楽史上に燦然と輝く大曲を、ピアノ始めて6年の、ソナチネとか
弾いてるチビが弾こうっていうんだから。
ムリムリ。

代わりに先生はガーシュインのピアノ曲を探してきてくれた。
それが"Preludes for piano"。

もちろん翌年の発表会でどどんと一曲かましましたよ。他の子がドレス着て
「小犬のワルツ」とか弾いてるのをよそに、赤いシャツに黒のネクタイで。
たった4ページの小作品とはいえ、ガーシュイン節炸裂。
はったり大好きピアノバカチビは大変に大変に満足した。

さて現在。
ピアノバカチビは挫折してテレビの音効さんになった。
とりあえず音の仕事なので幸せだ。
休みの日、久しぶりにピアノを弾いた。"Preludes for piano"弾いてみよう。

・・・あれ?

なんだかかっこよくない。ヘンな不協和音。あれ、下手になったからか?
大ショック。

そしてふと丹念に楽譜を読み直すと。

・・・音を間違って弾いているーーー!!しかも4箇所も!!
これを「複雑な響きがかっこいー」とか言って弾いとったんか、あのガキャー!

今日の一句。
おもいでは、おもいでだから、うつくしい

おそまつ。

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BGM:Rhapsody in Blue by Andre Watz



2002.8.6火

「ひえひえ君」
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暑いですねえ。

こないだ某スタジオでDATを使っていた。
テープを入れかえようとEjectを押す。ふと出てきたテープを見ると。
・・・切れてんじゃねーか!!!
本体からぴろぴろ〜と出てきてしまったテープがきれいにぶっつり。
だあーーーーーーっ。

呆然としたまま目の前にいたミキサーさんに、
「・・・切れたっす」
と言うと、
「え?!DATがなんで切れるのー!」
二人でしばし沈黙。

解説。
DAT=Digital Audio Tapeのこと。DV=Digital Videoのテープくらいの
大きさの音楽用テープだと思いねえ。
音質はCDより良い。CDのサンプリングレートは44.1kHzだが、DATは
最高で96kHzと、CDと比べ物にならないくらい情報量が多い。
もちろん市販もされてるが、メディアが高いのと機械の種類が少ない
ので、結局普及しなかった。

で、(ほぼ)業務用スタンダードのメディアのくせしてトラブルが多い。
しかもその時使っていた機種は、他のスタジオでもトラブルを散々経験した
ことがある悪評高いもの。
でも切れたことはなかったぞ!!!しわがよるくらいだったらそこの部分
諦めりゃすむけど、テープで一カ所が切れたら再生できないじゃねーか、
どうしてくれるんだこの野郎!!

ミキサーさんが一言。
「貼れば?」

そりゃー、言われなくても貼ろうと思ってたけどね。このスプライシング
テープは6mm用なんだな。6mmってテープ幅が6mmあるから6mmって
呼ばれていてね、厚みも0.3mmくらいはあるからそりゃー切ったり貼ったり
できるけどさ、DATって幅はえー何mmあるのかな、おい3mmしかない
じゃねえか(測った)しかもしかも厚みは0.1mm以下なんじゃねーのか?!
(計測不能)。

貼った。

こういうテープ類は、貼る時注意がいるんですね。スプライシングテープは
一巻き3,000円以上するけどなんでわざわざ使うかっていうと、「のり」が
染み出てこない。経年変化でのりが染み出てくると、再生ヘッドを汚して
しまいにゃ走行不能になるんですね。だから間違ってもセロテープで貼っちゃ
いけませんよ(学生の時はやったな・・・)。
もちろん雑に貼ってテープがはみだしたりすると一発でトラブルが起きますね。
あぶないあぶない。

というわけで、こっそり人様の機械(スタジオの機械)で再生してみる。

無事再生。

はっはっは。勝ったぞ、勝てば官軍。
(意味不明)

つーかいいかげんにしろ>タス○ム(メーカー名)。

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BGM:RadioEthiopia Patti Smith





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