Garbage Collection


2004-04-16

§ [clip] Daily Clipping

PIA05755: Opportunity Captures "Lion King" Panorama(NASA)

火星、メリディアニ平原、イーグルクレーター。オポチュニティ着陸地のフルカラー360度パノラマ写真です。

これはぜひ、フル解像度のデータ(同ページ写真の右端にリンクがあります)をスクロールしながら見てください。素晴らしい映像です。ちなみに、「ライオンキング」はこの写真につけられた名前です。


この写真、まず驚くのは広大なメリディアニ平原とこのクレーターの小ささです。火星ローバーがこの小さいクレーターの中に落ちたことは、驚異的な偶然です。ご存知かもしれませんが、火星ローバーの着陸の最終段階はコントロールされていません。地表ぎりぎりでパラシュートを切り離しエアバックを開いて、火星の大地を何度もバウンドした後、停止したところでぱかっと開く、というやり方をとっています。これは、細かい姿勢制御をするための機構を省略することで、かなり多くの機材が省略でき、コストを下げペイロードを増やすことが出来るというメリットがあります。この写真にもローバーをおさめていたケース(今は、「チャレンジャー記念基地」という名前がついています)が写っていますが。ほとんどただのケースであることが分かるかと思います。


つまり、オポチュニティの場合、メリディアニ平原がターゲットにはなっていましたが、その何処に落ちるかはほぼ偶然にまかされていたわけです。そして、オポチュニティは、ぽーん、ぽーん、と転がったあげく、この極めて小さなクレーターの中で停止しました。写真をよく見るとクレーターの右側に、転々とエアバックがはねた跡が残っています。


この写真に写っている場所の中で、クレーターであるのこの場所だけが、砂がえぐれ、わずかながら地表下の岩石が露出しています。ご存知のように、「水の痕跡」の第一報は、ここからもたらされました。このパノラマ写真を見るとその発見のすごさが分かります。今は砂に覆われていますが、ここはかつて渚だったんです。