Garbage Collection


2005-04-14

§ [clip] Daily Clipping

すばる望遠鏡、最も重元素の少ない星を発見 ?第一世代星の元素合成に迫る? (NAO Subaru Telescope)

これまで見つかった中で、最も鉄の含有量の少ない星が見つかった、というお話。

鉄は恒星内部でしか生まれない。そして恒星の死→新たな星の誕生を繰り返す中で、鉄はどんどん蓄積されていく。鉄の含有量が少ないということは、宇宙が誕生してからほとんど世代を経ていないことを示している。今のところまだ議論が分かれているけど、第2世代の星である可能性が高いとのこと。


お、YOMIURIが記事にしてますね。でも...

130億歳=銀河系最古の星、国立天文台などが発見 (YOMIURI)

んー、センセーショナルにしたいのは分かるけど、「銀河系最古」はちょっと言いすぎ。第一世代の超新星から、鉄含有量の少ない星が生まれるメカニズムが分かっていない以上、鉄の含有量がそのまま星の古さを表すとは言えないはず。この結果からは「とても古い」ということは分かるけど、一番古いかどうかは分からないんじゃないかな。


そんなことより、この星の組成が他の低金属星と違って炭素の含有量がとても多いというところが注目すべき部分(地味だけどな)。鉄の含有量が少なく炭素の含有量が多い星が生まれるメカニズムが分かれば、生まれたばかりの宇宙がどんな様子だったか分かるかもしれない。


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Autonomous military satellite to inspect others in orbit (NewScientist)

アメリカ空軍が昨日(4/13)打ち上げたXSS-11の話。この衛星は軌道上で衛星を修理するための技術を実証するための実験を行う。

軌道上で衛星を修理したり燃料を最充填できれば、衛星の寿命を飛躍的に延ばすことができる。さらに、この衛星は「自分で考えて」行動する能力を持っていて、「行け!XSS-11」と命令すれば、自分で考えて目標衛星とランデブーするそうな。


この前NASAが同じような目的でDARTSという衛星を上げていたけれど、軍も同じような研究をしているということですね。まあ、軍事衛星は軌道も低くて頻繁に軌道修正する必要があるため、燃料の消費が多くて寿命が短いから、この技術に注目するのは当たり前といえば当たり前の話。でも、小さく(みつかりにくい)、自分で動く(余計な通信がいらない)この衛星は、敵国の衛星を行動不能にするのにもとっても便利だったりする。


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Prepared Statement of NASA Administrator Nominee Michael Griffin (SpaceDaily)

NASAの時期長官に任命されたマイケルグリフィンの議会演説。「えーと、いろいろやることはあるけど、がんばりまっす」という内容。


「やること」は以下のとおり。

-シャトルを安全に運行させます。ま、2010年までには退役させるけどな。

-その後、次の有人機をなるべく早く就役させます。

-「有人での宇宙探検」を目標に、宇宙関連、航空関連、科学研究のバランスをとります。

-みんなと協力して、国際宇宙ステーションを完成させます。

-民間の宇宙開発事業との連携を推進させます。

-火星やそれ以外の惑星へ行くことを念頭において、とりあえず月へ行くぞ。

前長官のオキーフ氏は、くちゃくちゃで無駄の多かったNASAを立て直すために、その財務管理能力を買われてブッシュが送り込んだ人物。予算の縮小とそれに伴うリストラを着々とこなしていたが、コロンビアが事故を起こし、彼のもくろんでいた「NASAの建て直し」は予想もしなかった形で成就することになった。


で、オキーフさん、事故のごたごたもひと段落し、そろそろ役目も終わりかなと思ったんでしょうね。「子供の学費が払えないから、もっとお給料のいい仕事をします」といって、ルイジアナ大学の学長になっちゃった(そ、そんなに給料安いのかNASAの長官って)。


そんなオキーフ氏の後釜に雇われたこのグリフィン氏はバリバリのエンジニア。リストラはすんだから今度は技術畑の人を雇って「月へ行くぜ!」というわけですね。


関係ないけど、最初にこの人の写真を見たとき、「びりー・くりすたる?」と思ったのは本人には内緒。


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「科学しよう」第一回 ? すばる望遠鏡で科学しよう ? (NAO)

最先端の科学施設を訪問し、最先端の研究の参加するというイベント「科学しよう」の第一回は『すばる望遠鏡』。すばらしい!といいたいところだけど...がぁ、なんで高校生対象なんだー!大人だって科学したいぞー!


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Look out for giant triangles in space (NewScientist)

地球外知的生命体探査(SETI)の新手法に関するお話。異星からの電波に耳を澄ますなんてまどろっこしいことをしてないで、太陽系外惑星の軌道上にある巨大な人工物を探した方が早いぜ!ということらしい。


どうやら、次世代の宇宙望遠鏡の性能を持ってすれば、太陽系外惑星の軌道上にある惑星サイズの「あからさまに三角」とか、「どうみても四角」だったりする物体を検知することができるかも、ってことみたい。


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Moon images reveal bright spots for lunar base (Nature)

月に基地を作るならどこがいいか?という話。

月は自転軸に対して、1.5度しか傾いていないために、一年中ずーっと太陽の沈まない場所がある。将来、月に恒常的な基地を作るならここがよかろう、という話。その場所は、月の北極にあるピアリークレーターの尾根にある。ここなら、太陽は常に地平線上にあり、決して沈まない。気温は一年を通じて-50度ぐらい、寒すぎもせず暑すぎもせず、とてもいい「気候」らしい。


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Polymer sniffs out explosives (Nature)

従来の30倍もの検知能力を持った「爆発物検知物質」が作られた、というお話。このポリマーは紫外線で励起しておくとレーザーみたいに光を発する。でも、近くにTNTがあるとその分子がポリマーにくっついて光が出なくなる。これの性質を利用して爆発物を検知するらしい。


でも、まだ犬にはかなわないみたい。「将来的には、犬並みに」だそうな。


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人類の広がりをDNA分析で調査する「ジェノグラフィック・プロジェクト」 (NationalGeoglaphicJapan)

数十万人のDNAを分析して、人類がどこで生まれどう広がって行ったかを明らかにしよう、というプロジェクト。100ドル弱だせば、誰でも参加できる。

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うー、試してみたいけど、一万円かぁ。