Garbage Collection


2006-02-27

§ [clip] 冥王星の衛星は三つ子

Three Plutonic Moons Formed in Single Cataclysmic Event, Scientists Say(Planetary Society)
新たに発見された冥王星の2つの月は、これまで知られていた衛星カロンが出来た時に同時に出来たのかもしれない、というお話。っていうことは、一回の衝突で月がいきなり3つ出来たっていうこと?
冥王星にはカロンという巨大な衛星があることが知られていて、これは大昔の天体の衝突によって冥王星本体から引き剥がされたものだと考えられてきた。つい最近、冥王星にもう2つ月があることが分かったんだけど、これもやっぱり天体の衝突それもカロンが出来たのと同時にできたんだよ、ということらしい。その理由は、軌道面がカロンと同じ平面上にあること、そして軌道周期が単純な整数比になっていて明らかに共鳴関係にあること。このことから、この3つの衛星は同じ起源を持つ可能性が高いそうな。なるほど。
でも、この1回で複数の衛星が出来るという現象はありふれたことなんだろうか?だとすると、やっぱり地球の月が一つしかない理由が知りたくなるなあ。母星に比べて衛星がやたらと大きいという意味では冥王星とカロンの関係は、地球と月の関係に似ているといえなくもない。もし両者の衛星が同じ理由から出来た(他天体の衝突)のなら、片方に衛星が3つあって、片方に1つしかないのはやっぱり理由が必要なんじゃないかな。母星のサイズか?太陽からの距離か?組成が関係しているのか?それとも、月が出来てからの時間かな?
ますます、NewHorizonsの探査が楽しみだ!まあ、ずいぶん先のことだけどね。

§ [clip] すばるの新観測機器が運用開始

すばる望遠鏡の新しい「赤外線の瞳」がついに始動(NAO-J)
すばるの新しい観測機器が運用に入るよ、というお話(ファーストライトは去年の9月)。今回運用に入るのはMOIRCSという名前の機械。もいりくすと読みそうだけど、モアックスと読むらしい。「すばる多天体近赤外撮像分光装置 (Multi-Object Infrared Camera and Spectrograph)」が本名で、その名前の通り、沢山の星を近赤外線領域で一度に撮影、分光観測することができる。この機械がすごいところは、視野がすごく広くて沢山の星を一度に観測できること。しかも、それを近赤外線領域でできるということ。もちろん、世界中でまだすばるにしかない。
これができると何が嬉しいかというと、たとえば、宇宙がまだ若くて星が出来たばかりの頃の様子を観測するのにとても便利なのだ。宇宙で最初に出来た星を探そう!なんていう研究をする時は、一度にどれくらい沢山の星を観測できるかが死活問題になる。なにしろ、どの星が一番古いのか観測してみるまで分からないからねえ。しかも、宇宙が膨張しているせいで、遠くの星は波長が赤外線の方にずれてしまっているから、赤外線領域での撮影能力も欲しい(機械を冷やさなくちゃいけなかったりするから結構大変なのだ)。今回のMORICSはこの天文学者の要望に答えるもの。そうそう、MORICSで宇宙ができたての頃の星を沢山見つけて、この間打ち上げられたASTRO-Fで細かく観測、なんていう連係プレーもできるかもしれない。そりゃ期待も高まるちゅーものやね。
すばるが観測を始めて5年、なんだか毎月(毎週?)のようにばんばん新しい成果を出して、のりに乗っている感じ(現場ではいろいろ大変そうだけれど...)。しかも、今すばるではいろいろな機械のアップグレードをやっている。これからももいろんな新しい機械が取り付けられる予定なので、面白いことがいろいろ分かるかもしれない。うはは、楽しみだなあ。

§ [clip] なゆたが恒星の2重ガス円盤を発見

世界初、なゆた望遠鏡が恒星の二重円盤を発見(AstroArts)
国内の望遠鏡だって負けちゃいないぜ!西はりま天文台の2m望遠鏡「なゆた」がプレアデス星団プレオネという恒星の周りに形成されたガス円盤が2重になっているのを発見した、というお話。この天体にガス円盤があることはずいぶん昔から知られていたんだけれど、中心部にこれまで知られていたのとは違う小さなガス円盤を発見。しかも、その円盤の角度がこれまで知られていたものと60度もずれていたらしい。1973年から60度もずれたってことは、年間2度近く変化していることになる。ぜひ、リンク先の想像図を見て欲しい。ひょー!なんだこれは!
プレオネの円盤がどうやって形成されたのかはよく分かっていないらしいけれど、赤道からガスを噴出しているんじゃないかとか、伴星があって、それが近づくことでプレオネのガスを引きちぎっているんじゃないかとか、いろいろ説があるみたい。
素人目には、ガスを噴出している恒星が途中でいきなり角度を変えたみたいに見える。ただ赤道からガスを吹き出しているんだとすれば、それまで安定していたものが突然60度も角度を変えるのはちょっと不自然だよねえ。たとえば、楕円軌道を回っている伴星が近づくたびにプレオネからガスを引き出しているとすれば説明がつきそうな気もするけれど...2つの円盤の継ぎ目が見たいぞ!
おぉぉぉぉ、追試を!西はりまだけじゃなくて他の望遠鏡で追試観測を!ガス円盤なら電波干渉計でかなり見えるんじゃないかな?

§ [clip] シャトル退役までのフライトプラン

NASA Flight Assignment Working Group (FAWG) Space Shuttle Planning Manifest 24 Feb 2006(SpaceRef)
き、厳しいなあ。バッファがまるでないじゃないか。次期計画に予算を突っ込むことが決まっているから、退役を先延ばしにするわけにはいかないし、トラブルで打ち上げがずるずる延びたりすると、あっという間に打上げ回数が減るという感じ。「日本棟打ち上げ08年か 国際宇宙ステーション」(河北新報)なんて話もあるけれど、もしかするとぎりぎりかもしれない。
このタイトなスケジュールが、またトラブルの原因になったりしないといいけど...