Garbage Collection


2006-10-06

§ Daily Clipping

§ [clip] The Nobel Prize in Physics 2006

今年のノーベル物理学賞は宇宙背景放射探査衛星COBEの主任研究者ジョージ・スムートとジョン・メイザーに決定。おめでとうございます。受賞理由は、宇宙背景放射が黒体放射と一致すること、そしてその分布にかすかな揺らぎがあることを発見したこと。平たく言うと、彼らは宇宙背景放射がビッグバンの残光であることを確かめた人たちです。

この辺の話は観測と理論がくるくるダンスを踊ってるみたいですごく面白いんだよね。そのうちJunkyard Reviewの方に書こうかな。

§ [clip] NASA's New Mars Camera Gives Dramatic View of Planet(NASA)

Mars Reconnaissance Orbiterの高解像度カメラ(HiRISE)が最初の映像を送信してきた、というお話。ぱっと見ると何の変哲もない衛星写真に見えるけれど、1ピクセルが約30cm四方に相当、もし人が立っていたら写真に写るそうな。すげー!これなら火星表面のスピリットとオポチュニティが写るかも。

§ [clip] Next shuttle mission to do complex electrical work(SpaceFlightNow)

次のシャトルミッションであるSTS-116の打ち上げ日程が1週間ほど早まり、12月7日の現地時間午後9時38分に前倒しになったとのこと。つまり、コロンビア事故以来始めて夜間の打ち上げが行われるということですね。
ref.STS-116 Discovery Mission Timeline : Overview

コロンビア事故を受けた新しい規定で、上昇中の期待を撮影するために「打ち上げは日中に限る」という条項がありました。今回の日程は、この規定を緩和するという決定を下したということを意味します。

また、NASAの安全軽視文化が再燃か?という声が聞こえそうですが、ここ3回の打ち上げで軌道上でシャトルの状態をチェックするプロセスが確立していますから、上昇中の機体の様子の撮影は安全性の確保という意味ではメリットはあまりありません。むしろ、夜間の打ち上げが可能になることでスケジュール的な余裕が出てきますから、プロジェクト全体への負荷は下がるでしょう。決して悪いことではないと思います。

ただ、外部燃料タンクからの断熱材の脱落が止まったわけではありませんから、更なる安全性確保のためのデータを取得するという意味では、撮影の機会が失われることはデメリットといえるかもしれません(脱落の有無、その箇所は、燃料タンク分離後のシャトルからの撮影で分かりますが、いつ脱落したかは分からなくなります)。なかなか悩ましいところですねえ。

§ [clip] High-tech analysis may rewrite space history(Houston Chronicle)

始めて月面に降り立ったニール・アームストロングの有名な言葉、"That's one small step for a man, one giant leap for mankind.(これは1人の人間にとっては小さな一歩だけれど、人類にとっては大きな飛躍だ)"のくだりをよーく聞いていると、彼は最初の"a"を発音していない。彼が本当に"a"を落としていたとすると、前半のmanも「人類」の意味になってしまって、せっかくの名言が台無しになる。だから、みんなこのアームストロングの間違いは聞かなかったことにして、"a"を補っていた。ニール、ダメじゃないかニール。

でも、音声ファイルをよーく調べてみたら、どうやら彼はちゃんと"a"を発音していたんだけど、通信環境悪かったせいで聞こえなかっただけだっだことが分かったんだそうな。オーストラリアに住むプログラマーのピーター・フォード君がGoldWaveという45ドルのシェアウエアで調べたら、その「痕跡」があったんだって。え?シェアウエア?まあ、彼はホーキング博士が遣っているみたいな発声補助ソフトのプログラマーだから、まったくの素人というわけじゃないんだけどね。

ref.Electronic Evidence and Physiological Reasoning Identifying the Elusive Vowel "a" in Neil Armstrong’s Statement on First Stepping onto the Lunar Surface(Control Bionics)※元論文

で、彼はアームストロングの"公式"伝記作家ジェームズ・ハンセン氏と2人でアームストロング本人にこの発見を報告したんだそうな。アームストロングは涙を流して彼に感謝...したわけじゃなくて「興味深い、なかなか説得力があるね」といったそうな。ニール、ほめてやれよニール。

ちなみに、アームストロング自身はこの件に関して昔からずっと「僕がほんとに"a"を忘れたのかどうかは関係ないよ。だって僕はそのつもりであの言葉を言ったんだから」と言っている。ま、そりゃそうだ。

全然関係ないけれど、個人的には、3番目に月に降り立った男、ピート・コンラッドが月着陸船の梯子から飛び降りながら叫んだこの言葉が大好き。
"Whoopie! Man, that may have been a small one for Neil, but that's a long one for me."
(いやっほー!ニールには小さな一歩だったかもしれないが、俺にとっては長ーい一歩だぜ!)