Garbage Collection


2007-03-05

§ *Daily Clipping

§ **中国の衛星破壊実験の不思議:宇宙政策シンクタンク 宙の会(via Starship Engineer's Log )

中国の衛星破壊実験は「ランデブー実験に失敗しただけ」説。えぇーっ!いくらなんでも、それはありえないでしょう。

人工衛星の速度と高度には厳密に対応関係がある。速度が上がれば高度が上がるし、速度が下がれば高度が下がる。速度を維持したまま高度を変えることはできないし、高度を維持したまま速度を変えることはできない。二つの衛星の速度が違うということは、両者がまったく違う軌道に乗っていることを意味する。

もし、件の実験がランデブーやドッキングを意図したものだったのなら、衝突の直前、二つの衛星の相対速度は限りなくゼロに近かったはず。たとえ衝突しても、あんなふうに粉々になってデブリが撒き散らされるようなことにはならない。逆に、実験中に何らかのトラブルで「衝突した時にバラバラに砕け散るような速度差」が出てしまったとしたら、軌道がずれて両者は絶対に衝突しない。それほどの速度差がありながら両者が衝突したということは、狙って当てた―そもそも破壊を意図した実験だった、か、全くの偶然だった―ロケットを打ち上げたらたまたま進路上に自国の衛星がいた、かのどちらかしか考えられない。

両者が衝突して軌道上の広範囲にデブリがばらまかれている時点で、あれがランデブー実験だったという可能性はほとんどないんじゃないかな。

今回の実験で、中国は自分が衛星破壊兵器というカードを持っていることを全世界に示したし、それに対して各国がどんな反応を起こすかもわかった。実験の目的としてはそれで充分。すぐに使うつもりがないなら「ごめんごめん、二度とやらないよ」といっておけば、表向きの非難は回避できる。でも、中国のカードは場にさらされてしまったから、各国はこれから様々な局面でそのことを考慮せざるを得ない。その意味で、中国の衛星破壊兵器は見事にその威力を発揮している。「不思議」は何もない。中国の「実験」はその政治的な意味も含めて100%成功した、と取るのが素直な見方じゃないかな?実験そのものが事実であることは当の中国自身が認めているんだし、わざわざそんな陰謀論めいたシナリオを描かなくても、今回の一連の出来事は十分理解の範疇にあると思うけどなあ。

本日のツッコミ(全2件) [ツッコミを入れる]
> ブロガー(志望) (2007-03-06 22:09)

お邪魔します。<br> 要するに「今回の件に関し日本は何もするな(抗議も批判<br>も含めて)」という事ではないでしょうか。

> 中の人 (2007-03-07 07:52)

×中国の衛星破壊実験の不思議<br><br>○宙の会の中野不二男の不思議