Garbage Collection


2007-03-23

§ *Daily Clipping

§ **SpaceXのFalcon1、第2回テストで高度320kmに到達。第2段エンジントラブルによりペイロードの軌道投入に失敗

Space-X社のFalcon-1の2回目のテストは、高度320km付近で第2段エンジンが停止、所定の軌道に乗せることは出来なかったとのこと。おしい!どうやら、原因は第2段エンジンのロールコントロールがうまくいかなかったからみたい。確かに、打ち上げのビデオを見ると映像が途切れる直前、エンジンが変なみそすり運動をしてますね。~ ref. Space Exploration Technologies Corporation - Updates(SpaceX)~ ref. Space Exploration Technologies Corporation - Video Gallery(SpaceX) 1回めの打ち上げが発射直後にエンジントラブルで失敗したことを考えれば、すばらしい進歩。この打ち上げの一番の目的は、地上ではテストできない環境でトラブルが起こらないかをテストすることですから。これでいいんです。 Falcon1は、民間出資企業による初の液体燃料ロケット。打ち上げコストが極めて安いことが特徴で、1回の打ち上げ費用は8億円ぐらい。もし予定通りの性能と価格が実現できれば、かなり革命的なロケットになる。ちなみに、第1段に使われているMarinエンジンは再利用型。パラシュートで海上に着水、回収されてもう一度使う。もし、このエンジンの再利用が本格的になれば、さらに打ち上げ費用は下がるとのこと。今のところ再利用できるロケットエンジンはスペースシャトルのメインエンジンぐらいじゃないかな? (追記)これは、別のフライトの話ですね。Space Services Inc.とSpaceXとの契約による打ち上げは、2007年末の予定とのこと。失礼しました。~ そういえば、Space Services Inc.の宇宙葬のユニットが積まれていたはずだけど...ふむ、エンタープライズの機関長「スコッティ」ことジェームズ・ドゥーアン氏や、マーキュリー計画最後の宇宙飛行士ゴードン・クーパー氏などを含む185人分の遺骨が詰まれていたみたい。同社のFAQによれば、打ち上げが失敗した時は追加の費用なしで、もう一度打ち上げてくれるそうな。えーと、安心? 関係ないけど、この「スペースサービス」の宇宙葬プログラム、12500ドル払えば太陽系脱出軌道に乗せてくれるらしい。2009年にはサービス開始とのこと。行き先は選べるのかな?

§ **日本学術会議小委員会が冥王星の分類名を「準惑星」とする最終案を提出

日本学術会議の「太陽系天体の名称等に関する検討小委員会」で、冥王星の分類名を「準惑星」とする最終案がまとめられた。4月の前半に行われる幹事会で最終決定されるとのこと。~

ref.asahi.com: 冥王星の分類の日本語訳は「準惑星」 日本学術会議小委 - サイエンス

また、海王星より遠い天体は「太陽系外縁天体」、惑星でも、準惑星でも、衛星でもない天体は「太陽系小天体」と呼ぶことにするそうな。「dwarf」にはこれまで「矮」の字が当てられていたから(白色矮星とか)、てっきり矮惑星になるとおもっていたんだけどなあ。「矮小などと、否定的なイメージがある」「漢字が難しい」ということで、準惑星になったとのこと。うーん、言葉としての整合性よりイメージを取ったのね。

ちなみに、「準星」といったらクエーサーのこと。発見された当時、恒星なのかそうじゃないのかよく分かっていなかったので、「恒星のような天体」という意味で「準星」と呼ばれていた。今はあんまり使わない。

まあ、「準惑星」の定義には「サイズが小さい」という定義はないので(周辺の天体を一掃している、という意味では間接的には大きさに関係しているけどね)、ある意味、元の英語表記より正しいと言えるかもしれない。ま、違和感は慣れの問題かな?

§ **2008年度のNASAの予算要求に対する公聴会が開かれた

08年のNASAの予算に対して公聴会が開かれ、各方面から疑問の声が上がっているそうな。「ぶっちゃけ、足りないんじゃないの?」「はい、ごもっとも」という感じ。このままだと、深宇宙ネットワーク(DSN)を維持する費用が足りなくなるかも、とのこと。~ ref.FY08 NASA Budget Request Insufficient For Space Exploration Program Say Republicans(SpaceDaily)~ NASA’s “Lean” Budgetary Outlook Will Have Wide-Ranging Impact on Agency Programs(White House) これについては以下のエントリを参照のこと。付け加えるべきことはあんまりない。~ ref.NASAの2008年度の予算要求が発表された(Garbage Collection)

§ **NASA先端構想研究所(NIAC)閉鎖か?

NASAの「実現の可能性は低いけれど、研究に値するかもしれない"革命的な"アイディア」や「とても独創的で他の研究領域をインスパイアする可能性のある"革命的な"アイディア」を検討するセクション、NASA Institute for Advanced Concepts (NIAC)が、緊縮予算のあおりを受けて閉鎖されるかも、というニュース。なにー!~

ref. Futuristic NASA think tank to be shut down(New Scientist Space)~

ref. NASA Institute for Advanced Concepts

ここは「反物質エンジン」とか「火星でも生きていける微生物を作ってテラフォーミング」とか「宇宙空間に巨大な日傘を広げて地球温暖化対策」」みたいな、実現性はほとんどないけど、わくわくするようなアイディアの種に予算を付けてまじめに検討しよう、というセクション。まあ、無駄といってしまえばこれほど無駄な組織もないかもしれない。でも、NASAの懐の深さを象徴するような組織なんだけどなあ...

本日のツッコミ(全4件) [ツッコミを入れる]
> dtomono (2007-03-23 05:17)

ぢつはクエーサーはQuasi Stellar Objectの略だったりして :P<br><br>それはそうと、Falcon 1の姿勢制御が発振しちゃってるのを見るのはドキドキしましたです。

> isana (2007-03-23 10:49)

> クエーサーはQuasi Stellar Objectの略<br>確かに、'Quasi'の訳語で「準」ですね。こっちは辞書の意味に正確な訳だなあ(直訳すると準天体だけど)。なんだか、整合性が取れてませんね。<br><br>>Falcon 1の姿勢制御が発振しちゃってるのを見るのはドキドキしましたです。<br>ノズルがぐるぐる首を振りはじめるのと、背景の地球がらせん状に動き始めるのが呼応していて、みるみるうちに...ああああ、という感じ。見ていたエンジニアの心中を察すると胸が痛いなあ。<br><br>今見直したら、切り離しの時に第一段がノズルにぶつかってますね。あれが遠因だったりするかな?

> Spark (2007-03-24 08:21)

先日スラドで話題になっていた、<br>ハヤブサがカプセル投下後に大気圏突入する軌道をとる話の<br>裏がとれないんで、アチコチ宇宙関連の話題に強いブログとか回ってますが、<br>なんか反応出てませんね。ネタ元が朝日なだけに信用度が…

> isana (2007-03-26 09:26)

>ハヤブサがカプセル投下後に大気圏突入する軌道をとる話<br>いや、実は私も気にはなっているんですが、以前から言われている<br>「そうするかもしれない」という話を記事にしただけなのか、<br>運用チームのほうで方針が決まったのか、あの記事からだけではよくわからないので、<br>公式なリリースが出るのを待っているところなんですよ。