Garbage Collection


2007-05-15

§ **[clip] うっかりブラックホールに落ちてしまったときに役立つ論文

ref.No Way Back: Maximizing survival time below the Schwarzschild event horizon(arXiv:0705.1029v1)

ブラックホールの中、つまりシュバルツシルト半径(事象の地平線)の内側に入ってしまった物質は決して外へ出てくることができない。ただ、絶対に出られないだけで、中心の特異点に達するまでのいくばくかの時間は生きていることができる(ただし、巨大な潮汐力でバラバラにならない限りだけど)。さて、このわずかな時間を少しでも先に引き伸ばすことはできるだろうか?

どうやらこれまでの試算では「何をやっても無駄。事象の地平面の内側でいくらロケットを吹かしても自由落下するより遅くはならない」という結論だったんだけど、この論文では、上手くやればほんの少しだけど特異点への到達時間を遅らせることができるよという結論が出ている。

結論を書いてしまうと、やたらとロケットを吹かせばいいと言うものでもなくて、事象の地平面を超えたらロケットを吹かし始め、途中で推力を切るというやり方が一番効率がいいらしい。ただ、僕の知識では「何でそうなるのか」「どのタイミングでエンジンを切ればいいのか」は理解できなかった。えーと、「きりんぐべくとる」ってなんですか?

もう少しちゃんと勉強しないと、いざという時困るなあ。

§ **[clip] プラスチック製の人工血液ができるかもしれない

作られたのは、鉄のイオンを取り込んだプラスチックの分子。これはヘモグロビンのように細胞に酸素を運ぶことができるそうな。プラスチックだから劣化の心配がほとんどないし、保存するのも簡単、実現すればかなり画期的な人工血液ができるかも。~

ref.Sheffield scientists develop artificial blood(University of Sheffield)

ただし、リリースを読む限りは「ヘモグロビンと同じような機能を果たすプラスチック分子ができた」という段階、本当の意味で人工血液が作れるのはまだ先のことみたい。でもこれ、ちゃんと脾臓/肝臓(修正:コメント欄参照)で分解されるのかな?

本日のツッコミ(全5件) [ツッコミを入れる]
> IM (2007-05-18 13:38)

血液は肝臓で分解されて胆汁になります。<br>(γ-GTP高値なので勉強しました)<br>脾臓は血液を貯めるだけだったような。

> isana (2007-05-18 13:59)

ありゃ、そうでしたか。そりゃそうか、「血液処理器官」ですもんね。<br>ただ、脾臓の機能を調べると、「赤血球の分解(破壊)」とあるので、脾臓にもそういう機能はあるみたいです。

> ずほ@通りすがり (2007-05-23 09:38)

赤血球分解のメインは脾臓で正解です(一部、循環中に行き倒れて吸収されてしまうのもいますがw)。肝臓は脾臓で分解された成分(ビリルビン)を抱合して胆汁をつくっているだけです。

> にゃん (2007-06-01 16:44)

別に「人工赤血球」が分解過程までホンモノをまねる必然性はないように思う。

> にゃん (2007-06-01 17:04)

ひょっとすると、ここに書かれている「プラスチック」には、「生物由来ではない」という意味ぐらいしかないかも知れない。<br>体の中に入れるものだから、「なかなか劣化しない」というのも、問題があります。<br>通常、赤血球は120日の寿命があります。<br>人工赤血球が非常に寿命が長い場合、赤血球の数が元通りになった時、赤血球と人工赤血球で血液中が満員になって、ドロドロ血になって大変なことになるかも。