Garbage Collection


2009-01-06

§ 明けましておめでとうございます。今年もどうぞよろしくお願いします。

§ [sts107] Columbia Crew Survival Investigation Report(NASA) ※PDF注意

昨年末、コロンビア事故の新たな報告書が出ました。新年早々あまり明るい話題ではありませんが、これを取り上げないわけにはいきませんね。

これは、コロンビア事故を宇宙飛行士への安全という観点から再調査したものです。前回の報告書は事故の全体像を描き、なぜ事故が起こったかを詳細に検証するものでしたが、今回の報告書は、オービターが崩壊に至る詳細な過程とその過程において宇宙飛行士達がどのように反応したかが描き出され、万が一の事態が起きた際に最大限宇宙飛行士の安全を確保するにはどうすればいいかを議論するものです。

とりあえず、ざっくりした結論はこんな感じでしょうか、

コロンビアのクルーの死因は急激な減圧による窒息死。クルーの生存性という観点から見ると、現状の宇宙服や宇宙線の設計はこのような急激な減圧がおきてクルーが意識を失ってしまうような状態を想定していない。次世代の有人宇宙船では、このような場合に自動的にクルーを保護するような手段を講じるべきである。

大きな目で見れば今回の報告書で新たに分かった事実というものはさほど多くありません。クルーの死因(減圧による窒息死)も、最後の数十秒間にクルーが異常に気づき機体を立て直そうとしていたことも前回の報告書で触れられています。とはいえ、具体的な内容はなかなか生々しいもの。今回の報告書では、機体がどのような過程で崩壊して行ったかが、回収された破片や撮影されたビデオ、テレメトリデータなどから、豊富な図版やデータと共に克明に描き出されています。

機体の姿勢変化、クルーにかかっていたG、彼らが事故に対処しようとした様子... 読んでいるとなんだか胸が苦しくなります。この報告書を元により安全な有人宇宙船が開発されることを切に願います。

§ 参考

コロンビア事故最終報告書 非公式日本語版 こちらは、ちまちまと進めているコロンビア事故調査報告書の日本語訳。最近ちーーーっとも進んでいませんが(ごめんなさい)、作業は継続中です*1

*1 まあこれは、ライフワークというか、写経みたいなものなので...

Columbia, Houston, comm check... - Columbia Lost - Feb 1, 2003 これは、コロンビアの大気圏突入開始から事故対応開始までコントロールルームで交わされた会話の音声記録。ノーカットのmp3ファイルとトランスクリプトの対訳です。事故の大まかな流れが分かるように、コメントが付記してあります。