Garbage Collection


2009-07-01

§ [clip] NASAが今、月観測衛星を打ち上げたもう一つの深い理由とは(Technobahn)

ルナ・リコネッサンス・オービター(LRO)に積まれたカメラは最大解像度が50cmだけれど、この解像度で撮影されるのはアポロ計画やルナサーベイヤーなどの無人探査機の着陸地点だけで、ほかは解像度1mでの撮影になる。つまり、サイエンス目的には解像度は1mで十分で、50cmの解像度はアポロ計画40周年を記念した広報目的だ、ということらしい。

違うでしょう。

ルナ・リコネッサンス・オービターが、アポロや他の無人探査機の着陸地点を超高解像度で撮影するのは、月面がこの40年でどのように変化したかを調べるため。当然ながら、これまで解像度1m以下の高精度で地形などが調査されたことがあるのはこれらの場所だけ。~

ref.What are the Narrow Angle Cameras (NACs) on LRO?※LROの狭視野カメラの解説

たとえば、大気のない月面や小惑星の表面でも太陽風やミクロンサイズのチリなどの影響でゆっくりと風化が進むことが知られている。同じ地点の高解像度の画像がもう一度得られればこうした現象のプロセスやメカニズムが分かるかもしれない。あるいは、数十センチから数メートルの微小クレーターの分布を調べれば、微小隕石の衝突頻度を計測できるかもしれない。

こうしたピンポイントの調査をするのなら解像度は高ければ高いほどいい。逆に将来的な月面開発のための候補地を探すといった広い範囲の撮影が必要なサーベイをするならば、あまり解像度が高いとデータが大きくなって扱いにくくなる。サイエンスの目的が違えば、撮影すべき解像度や画像の種類が変わるのは当然のこと。

そもそも、月面に残されたアポロ着陸船や無人探査機を撮影したいだけなら1mの解像度があれば十分、わざわざ広報やアポロ捏造説に反論するためだけに最大解像度を50cmに上げる必要なんかないよ。