Garbage Collection


2014-12-31 Works in 2014

§ 2014年に作ったもの

いつも作りっぱなしなので、覚え書きも兼ねて2014年に作った主な作品をまとめておく事にします。こうやって並べてみると、結局同じようなものばかり作っていますね。

§ 地磁気のシミュレーション

磁力線

JAXA宇宙科学研究所の教育ビデオ用に地磁気のモデルを可視化したものです(シナリオの担当だったんですが、なりゆきで^^; )。最終的には3DCGソフトに取り込んで映像化されました。データの解析にMacBookをほぼ24時間を回しっぱなしにして1週間かけても終わらず、CGクリエイターの方のところで空いている端末までお借りして計算したのも今となっては懐かしい思い出。

画像は途中で確認用に作ったWebGLのビュアーです。Webサイトの形でデータを公開する許諾を得ていないので残念ながら非公開。いずれちゃんと許可を頂いて公開したいですね。こういうサイエンスデータの可視化もCGクリエイターの方と組んで映像化したのも初めての経験でした。これはたのしい。機会があればまたやってみたいです。

プラズマ密度

最終的な映像になったものは、宇宙研ビデオ「宇宙へ飛び出せ」シリーズ第16巻『躍動する磁気圏 磁場から宇宙の謎にせまる』で使われました。地磁気リコネクションのシミュレーション映像としては他にないものになっているのではないかと思います。同ビデオはJAXA相模原チャンネル(http://www.isas.jaxa.jp/tv_isas/index.html)で公開されています(なぜかWMVフォーマットしかないので視聴環境が限られますが...)

2015-03-04 追記: Youtubeで公開されました。 Youtube: 躍動する磁気圏 磁場から宇宙の謎にせまる

§ だいち2号軌道ぐるぐる

5月24日に打ち上げられた地球観測衛星「だいち2号」の現在位置と姿勢を再現するサイト。モデルデータを作ったのは @moffmiyazaki さん。だいち2号だけでなく地球と太陽の位置もリアルタイムで計算して、レーダー面を常に地球に向けつつ、太陽電池パネルに太陽を追従させる、というちょっと複雑なことをやっています。見た目にはちっとも分かりませんが...

画面では、だいち2号は地表に対して30度傾いた観測姿勢をとっています。実は、これまで衛星の位置については扱ってきましたが、姿勢についてちゃんと考えながら作ったのは初めてでした。思うところあって変な座標系を取ったので(実は座標原点にだいち2号がいて、地球がその周りを回っています)、作っている最中は頭がパンクするかと思いましたが、とてもいい勉強になりました。

§ Hayabusa's View - Recreation of Hayabusa 's Return

6月13日、はやぶさから見えたであろう光景を同日同時間に再現するサイトです(期間限定サイトなので今は動いていません)。画面には徐々に近づいてくる地球と各イベントへのカウントダウンだけ、3Dで描かれているにも関わらず視点の変更もズームもできないという、どうかと思うほど機能が限定されたサイトでした。これは、ひとつは視点を固定することで、逆に見ている人が同じ体験を共有できるのではないかと考えたからです。もうひとつは画面上から意味を排除する事で、逆にその意味づけを見ている人それぞれの「はやぶさ体験」に頼る事ができるのではないかと考えたからでした。

その意味で、SNSで共有されることが前提で、しかもはやぶさの事を知らなければ全く意味をなさないサイトです。

何もかも初めての試みだったのでどっきどきでしたが、見てくださったみなさんのおかげてとてもいい経験をさせていただきました。最後の演出はぎりぎりまで迷って、最終版を組み込んだのは公開後、帰還の3時間ほど前でした。どんな演出だったかは... まあ、内緒にしておきましょう;)

自分で作っておいて何ですが、これは強烈な体験でした。個人的には何かを共有するということについて改めて考える良いきっかけになりました。FacebookのいいねボタンやTwitterの書き込みボタンを貼り付けることだけが「共有」ではないですね。もしかしたら、同じ時に同じものを見ているという感覚だけをゆるやかに共有する、というやり方がアプリケーションでもありうるのかもしれないと改めて思いました。星を見るみたいに。

来年もやりますね。

§ H2Track - online hayabusa2 tracker

はやぶさ2の現在位置と地球からの距離を表示するサイトです。はやぶさ帰還の日に、次世代機はリアルタイムで追いかけたいなと思ってからはや3年。どうにか自分の技術と知識が間にあいました。はやぶさ帰還再現サイトの時にぼんやり考えていた「共有」の意味を少し意識しながら作った作品です。はやぶさ2もはやぶさ初号機に負けず劣らず人々の思い入れの深い探査機です。「はやぶさ2の現在位置」に思い描くものも人によって、あるいは時間や場所によって違うはずです。

このサイトには、はやぶさ2の今の位置と距離以外は何もありません。誰がいつ見ても同じ。もちろん視点の変更や拡大縮小はできますが、見ているものは同じです。

同じものを見ながら、みんなが何となく違う事を考えている。それが僕の考える「共有」のありかたです。このサイトはそのためのツールでありたいと思いました。想像力の邪魔をしない、こちらから意味を提示しない、なるべく単機能で、なるべく多義的で、なんでも乗せられるシンプルな器のような何か。

3年前、このサイトを作ることを思い立ったとき、思い描いていたのはこうつぶやくことでした。

はやぶさ2はいまここにいます。
http://www.lizard-tail.com/isana/hayabusa2/

§ 2015年は...

2015年は、GoogleSatTrack公開10周年という自分にとってはちょっとしたメモリアルイヤーです。だから何をするというわけでもないんですが、ここまで来たかと思うとなかなか感慨深いものがありますね。まさか10年も続くとは...

というわけで、今年も色々作りました。たぶんきっと来年もてくてくと何かを作っているでしょう。どうぞ、これからもごひいきに。良いお年をお迎えください。では、また。