Garbage Collection


2004-10-05

§ [clip] Daily Clipping

ANSARI X PRIZE Press Release

SpeceShipOneが二度目の飛行に成功し、正式にANSARI X PRIZEを受賞しました。おめでとうございます。

個人的には、賞の受賞はもちろんですが、同機体で2週間のタイムラグで宇宙飛行を行うという偉業をなし得たことを賞賛したいと思います。たとえば、スペースシャトルは一度飛行を終えると、次に飛べるようになるまでに2ヶ月以上かかります。もちろん、規模が全然違いますし、SpaceShipOneは弾道飛行するだけですけどね。これは本当にすごいことだと思います。

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Mercury Astronaut Gordon Cooper Dies at 77 (Reuters)

マーキュリー7の一人、ゴードン・クーパー氏が亡くなりました。享年77歳。ご冥福をお祈りします。

彼は、アメリカ初の有人宇宙飛行計画であるマーキュリー計画で最年少のパイロットとして計画最後のフライトで地球を22周、続くジェミニ計画でも飛行を行い199時間55分の飛行時間を記録しました。

" Who was the best pilot I ever saw? Well, uh, you're lookin' at 'im. " -The Right Stuff
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Nobel honours sub-atomic world (BBC)

今年のノーベル物理学賞はアメリカの物理学者、David Gross、David Politzer、Frank Wilczekの3名に決定。

素粒子の「強い相互作用」(これを研究する学問が量子色力学:QCD)は、近距離ないし高エネルギー下では相互作用が弱くなるという「漸近的自由(asymptotic freedom)」という性質を発見したことによる受賞。

あが、これじゃ何のことだか分からないな。

世界には、距離を隔てて伝わる力には4つしかありません。「重力」「電磁気力」「弱い力(弱い相互作用)」「強い力(強い相互作用)」です。「重力」は知ってますよね。質量を持つものは一定の力で引き合っています。もちろん重力は全ての粒子に対して働きますが、弱すぎて天体のスケールじゃないと効いてきません。「電磁気力」もおなじみですね。プラスとマイナスが引き合うやつです。静電気や磁石の力がそうですね。電子と原子核を結びつけたり、原子と原子をむすびつけて分子を作っているのもこの力です。重力に比べればずっと力は強いんですが、いかんせん届く距離が小さいんです。

「弱い力」「強い力」というのは原子を構成する素粒子に働いている力です。「弱い力」というのは中性子の自然崩壊(ベータ崩壊)を引き起こす力(詳しい話は割愛します、分からないし)。で、「強い力」というのは素粒子どうしを結びつけて原子核として安定させている力です。両者ともに届くのは極めて短い距離だけです。

さて、この「強い力」には「距離が離れると強くなる」という奇妙な性質があるんです。えーと、ゴムを想像して下さい。ある一定の距離では、ゴムの張力がほとんど掛からず、かなり自由に動けますよね。そしてゴムを引っ張れば引っ張るほど張力は増していきます。まあ、こんな感じの力だと思えばあながち間違っていないと思います。素粒子どうしは、こんな力でびよーんと結びついているわけです。で、この「強い力」の「距離が離れると強くなる」という性質のことを「漸近的自由(asymptotic freedom)」というんです。

今回、ノーベル賞を受賞した3人は、さらに、この「強い力」が素粒子の「色」と呼ばれる性質(素粒子の3種類の性質を赤、緑、青の三原色になぞらえているだけです。本当にそういう色をしているわけじゃありません)から生まれることを明らかにし、量子色力学(QCD : quantum chromodynamics)の基礎を作りました。

そういうわけで、彼らはノーベル賞を取ったわけです。

論文が発表されたのは1973年ですから、30年越しの受賞ですね。おめでとうございます。