Garbage Collection


2005-08-17 “There's no place like home.” - Dorothy Gale

§ というわけで

tDiaryで再スタートです。どうぞ今後ともごひいきに。

§ [clip] Daily Clipping

Galactic survey reveals a new look for the Milky Way(Unversity of Wisconsin)
宇宙望遠鏡「Spitzer」による観測で、我々のすむ天の川銀河がこれまで考えられていたより複雑な構造を持っていることが明らかになった、というお話。注目は記事からリンクされている「天の川銀河を外から見た姿」。わぉ!なんてきれいなんだろう。
今回明らかになったのは、天の川銀河がこのイラストの中央に見える「棒状の腕」を持っているということ。この構造は、前例がないわけじゃないけれど、あまり普通の銀河には見られずちょっと珍しい。もしかしたら、我々の銀河がどうやって出来たのかが分かるかもしれない。わくわく。
Krikalev Sets Time-in-Space Record (NASA)
16日、国際宇宙ステーションに滞在しているクリカレフさんの軌道上の総滞在時間が748日を超え新記録を達成しました。おめでとうございます。すばらしい記録です。
彼はこれまで宇宙ステーションミールの滞在2回、スペースシャトルのフライト2回、ISS滞在1回をこなしており、今回の第11次遠征が6回目の軌道滞在になります。ちなみに、連続滞在記録はワレリー・ポリャコフ(Valery Polyakov)飛行士がミール滞在で達成した437日18時間。
An outfit suitable for Mars (Nature)
火星協会主催のフォーラムで発表された、火星表面で使う新しい宇宙服のお話。この宇宙服は内部を加圧するのではなく、体に密着し皮膚を圧迫することで低圧に対抗するというもの。えーと、これは「スキンタイト宇宙服」*1では?
ちょっと解説がいりますね。
宇宙空間や月、火星などの低圧環境下では、体の内部より外部のほうが圧力が低いために、体に外に膨らもうとする力が働きます。また、低圧下では沸点が下がり体温で体液が沸騰してしまいます。だから、何らかの方法で体の内部の圧力に拮抗するだけの圧力を体の外側から加えてあげる必要があるわけです。
このため、これまで使われてきた宇宙服では、服の内部の気圧を0.3気圧に保ち、0.3気圧の酸素を吸う事で体の外と中の圧力を均衡させていました(もちろん、寒いとか暑いとか、放射線とか他にも宇宙服を着る理由はあるんですが)。でも、この加圧型の宇宙服は風船の中に居るようなものだから、ものすごくかさばるし動きにくいんです(0.3気圧という低圧にしてあるのは、少しでも動きやすくするためです)。重力を感じない衛星軌道上ならともかく、重力が地球の1/3ある火星ではあんなにかさばって重いものを着て動き回るわけにはいきません。
でも、理屈だけを言えば、全身を均一に圧迫してさえいれば、なにも加圧は「気圧」に頼る必要はありません。空気を吸わなくちゃいけない頭の部分はともかく、体は物理的に圧迫したって体内との圧力差は解消できる、というわけで考えられたのが、この「Mechanical Counter Pressure Suit (MCP Suit)」というわけです。まあ、平たく言えば、ぴっちぴちのウエットスーツを着てヘルメットをかぶるという感じですね。これなら動きやすいし、材質さえ工夫すれば少し破けたぐらいでは減圧することがありません。おぉ、すばらしい。
実はこのMCPスーツが考えられたのは1960年代、NASAに売り込んだけれど却下されたんだそうな。ずいぶん長く、出来上がったのは手袋だけ、という状態が続いていたような気がするけど、いつの間にやら全身スーツでテストするところまで行っていたみたい。
参考)
ref. Project Mars Skin(MarsSociety AU)
ref.Mars Skin Analog MCP Suit (MarsSociety)

*1 野尻抱介『ロケットガール』