Garbage Collection


2005-11-25

§ [clip] Daily Clipping

Record ice core reveals Earth's ancient atmosphere (NewScientist)
南極の氷のサンプルから650,000年間の地球の大気成分の推移が分かったよ、というお話。南極の氷は数十万年かけて徐々に降り積もりながら堆積したもの、だから穴を開けてサンプルを取ると、まるで樹木の年輪みたいに大昔の大気のサンプルが取れるというわけ。
で、悪いニュースと良いニュースが一つづつ、
悪いニュースは「やっぱり温暖化と温室効果ガスの濃度はとても密接な関係があった」ということ。このサンプルから分かる年代には6つの氷河期が含まれているけれど、今はそのどの時代よりも温室効果ガスの濃度が高いそうな。
いいニュースの方は「氷河期と氷河期の間の期間はこれまでの予測よりずっと長かったということ。間氷期は平均で3万年続くそうな、一番最近の間氷期が始まったのは1万年ぐらい前だから、もうしばらくは寒くなる心配をしなくてよさそう。
Einstein's Cosmological Constant Predicts Dark Energy (UniverseToday)
宇宙を加速膨張させているダークエナジーの値はアインシュタインの宇宙項と10%しか違わなかった、というお話。それはただの偶然では? むしろ、記事の途中にちょっとだけ書いてある「ダークエナジーは時間変化していないかも」という話のほうが大ニュースなんだけど、そっちの話はどこにも出てない。どうなってるんだ?きー!
っていうか、式の形が同じになるというだけで、彼の宇宙定数と今のダークエナジーは、導入された目的も、経緯もまるで違うんだけど、一緒にするのはまずいんじゃないかなあ。
当時、宇宙は膨張も収縮もしていないと考えていたアインシュタインが、自分の考えた式の結果が「ほっとくと重力で宇宙が収縮してしまう」というものだったために、そんなわけねーだろ、と式に宇宙の収縮を止めるための項をくっつけたのが「宇宙定数」。後にハッブルが宇宙が膨張していることを発見し、宇宙定数が必要ないことが分かって、彼はこの項を式に付け加えたことを激しく後悔した。
で、最近になって宇宙の膨張速度を細かく測ってみたら、実はその速度がどんどん加速していることが分かった。なんじゃそらー!というわけで、式に観測結果に合うように膨張を加速させるための項を付け足した。これが「ダークエナジー」。
ね、関係ないでしょ。確かに、宇宙の膨張率を決めるパラメーターだから式の同じところにくっつくけれど、アインシュタインがダークエナジーを予測していたわけじゃない。彼の宇宙定数とダークエナジーの観測値が、たまたま近くなったからといって、「ほら、やっぱりアインシュタインの宇宙定数は正しかったんだ!」というのは、ちょっとおかしいよね。
いま、宇宙論の世界では、このダークエナジーの値が不変なのか、それとも時間変化しているのかについて喧々諤々の議論がされている。もしかしたら、この観測結果はその議論に終止符を打つかもしれない。本当はそっちの方が大ニュースのはずなんだけどなあ。
NASA Makes Magic: 'Harry Potter' Goes To Space (NASA)
「新しい映画が見たいよう!」という国際宇宙ステーションの船長、ビル・マッカーサーのリクエストに、ミッションコントロールから『ハリーポッター炎のゴブレット』が送信されたそうな。宇宙ステーションには、長年ちくちくと持ち込まれたDVDやCDのライブラリがあるんだけど、さすがに飽きちゃったらしい。でも、何も続き物にしなくても ... 余計ストレスが溜まったりしないかな?
Spirit Marks One Year on Mars (One Martian Year, that is) (SpaceRef)
火星探査ローバースピリットが、1周年を迎えた!おめでとう!というお話。え?という感じだけれど、火星の1年はほぼ地球の2年にに相当するのだ。これはすごいことだよ。だって、火星ローバーの本来の設計寿命はたったの90日だったんだから。それが2台とも今でもすごく元気で、膨大な量のデータを火星から送り続けている。えらいなあ。
それにしても、記事からリンクされている、コラージュがすばらしすぎる。
僕は、無人探査機というやつについ心を動かされてしまう癖がある。ボイジャーしかり、はやぶさしかり、スピリットとオポチュニティしかり。地球から遠く離れた場所で人が作ったものが動き続けているということそのものにとても心惹かれる。だって、空を見上げて火星を見てごらんよ。ローバーは今もあそこに、あんな遠いところにいて、誰も見たことのない風景をカメラに収め、誰も触れたことのない岩に手を伸ばしている。そういうことって、なんというか、美しいと思うのだ。もちろん、ボイジャーも、はやぶさもそう。彼らが太陽系の端や、小惑星のそばから、「元気ですよー」とか「きれいな写真が取れましたよー」なんていっているのを見ると、なんだか胸がいっぱいになる。
僕は何度もここで「ロケットは想像力を乗せるための最良の乗り物だ」と書いてきたけれど、それはロケットが遠いところへ、誰も行ったことのないところへ行くための機械だからだ。彼らが、火星や、太陽系の端っこや、小惑星のそばにいることで、僕たちの想像力があそこにとどく。それは、たぶんとても美しいことだよ。
はやぶさ第2回サンプル回収スケジュール(JAXA/ISAS)
というわけで、はやぶさです。
宇宙科学研究本部のトップページに第2回サンプル回収のスケジュールが掲載されていました。
25日(金)22時頃 降下開始 
      22時  ブログ情報送信開始
26日(土) 3時  はやぶさ管制室ライブ中継開始(10時頃まで)
       6時頃 実験続行の可否判断
       7時頃 着陸/試料採取
      11時頃 着陸か中断かが判明
      13時頃 結果報告
わくわく!