Garbage Collection


2006-07-04

§ *STS-121関連

§ **外部燃料タンクから断熱材の脱落がありましたが、予定通り打上げるとのこと

2度にわたり打上げが延期されていたSTS-121ですが、現地時間3日の朝、機体への氷結をチェックする"Ice Team"が、発射台上に、断熱材の破片が落ちているのを発見。また、タンクの一部に亀裂が入っているのを発見しました。どうやらこの亀裂、低温になった断熱材の表面で雨が凍り、打ち上げ中止後に燃料を抜いたことでタンクが膨張、氷と一緒に断熱材の一部が「ひきつれる」ことで亀裂が入ったものとのこと。破片のサイズは長さ7cm弱、幅3mm弱、重さが2.5gぐらい。このサイズの破片なら、飛行中に衝突してもまったく問題はないとのこと。~ Space Shuttle Discovery: ET Foam(NASA) で、打上げチームは、現地時間7/4午後に予定されている打ち上げを延期して調査を行うかどうかの検討を進めていましたが、どうやらこのまま打ち上げることになったようです。え?ほんとに? すでに断熱材に亀裂や脱落が確認されている箇所については、打上げ時の熱の影響はほとんどない部分なので問題ない、ということのようです。新たな脱落の可能性については、リリースでは明言されていませんが、上のような理由で亀裂ができたのなら、さほど大きな破片にはならないだろう、ということでしょうか。うーん、ちょっと不安ですね。 物理的、工学的な面から見て安全かどうか?ということについては、上にもあるように「安全です」ということなので、この言葉を信じることにしましょう(これを疑うと何も話が進みませんからね)。さて、次にNASAが考えるべきなのは、この問題に対してどういうスタンスをとるかです。大きく分ければ二つ。「全然問題なし」と発表しそのまま打上げを決行するか、それでも一応調査をするよ、といって打上げを一日延ばすか。 これはなかなか難しい選択です。ただでさえ、断熱材の脱落の可能性が指摘されていた燃料タンク、そのタンクに規模は小さいにせよ実際に脱落が起きていた。ふつうは、「おいおい大丈夫なのかよ?」といいたくなります。全然大事じゃないんですよ〜、とかるーくスルーするか、いやいやそれでも慎重に慎重を重ねて、とやるか。前者は「また安全軽視」とそしりを受けかねません、でも後者も「そんなに深刻なのか」という印象を与えかねないでしょう。加えて、5日より4日の方が天気いい、という予報が出ています。 ただ、実際打上げを一日伸ばしたところで、発射台上にいる限り破損箇所には手が届きませんから、実は何の解決にもなりません(もしやるとしたら、発射台の上にやぐらを組むことになりますね)。本気で対応するなら一度組立棟まで戻さないとダメです。しかも、これはこのタンク固有の問題じゃありませんから、新しいタンクに変えてもまったく同じ現象が起きる可能性があります。そうなると、再開のめどが立たないということにもなりかねませんね。 なるほど、「一日伸ばして調査しても、組立棟まで戻しても、すぐには対策の取りようがない」「機体を破損するリスクはまったくない」この二つの条件が揃っているなら、ことさら騒ぎ立てるのは得策じゃないのかもしれません。まあ、この条件が揃っていれば、ですが。 が、見ている人間にとっては不安はぬぐえませんね。氷結程度でぱらぱら落ちる断熱材が、ほんとうに打上げの負荷に耐えられるんでしょうか。まあ、今回そのリスクは織り込み済みということなんですが... (追記) Trackbackによりご指摘。見出し修正「どうり→通り」。お恥ずかしい。