Garbage Collection


2006-08-07

§ **[clip] Japan aims to build Moon base by 2030

「日本も2020年までに月へ」という先日JAXA内の研究者チームが発表したプロジェクトに関する、News@Natureの記事(約2週間で消えてしまうので注意)。あ、そういえばこれに関してはエントリを書いていませんでしたね。~ JAXA:20年に日本人が月面着陸…30年ごろ基地建設−科学(MSN) 海外の宇宙開発関連の専門かもこの発表にはびっくりしているそうな。「あまりに莫大なコストがかかるから、アメリカか国際共同じゃないとちょっと無理なんじゃないかなあ」「各国がバラバラに月を目指すのはナンセンスだよ」とのこと。また、「日本のこの計画は、アメリカのそれととても比べられるようなものじゃないよ」という匿名のJAXA職員のコメントが掲載されている。まあ、当然予測された疑問ですね。 年間数兆円の予算を誇るNASAがひーひー言いながら進めているようなプロジェクトを、年間数千億円の予算しかないJAXAがやるぜ!といっても「ほんとかよ?」という声で迎えられるのは当たり前。それを覆すような革命的なアイディアが盛り込まれているわけでもなく、ただ「やるぜ」というだけじゃやっぱりちょっと説得力がありません。 そもそも、日本独自の有人宇宙飛行の可否の判断が2015年、そこから5年で月面着陸というのは、まじめにスケジュールを引いてプランを立てているとはちょっと思えません。あれだけ有人宇宙飛行のノウハウを持ち、一度月へ行ったことのあるNASAが開発に10年以上かけるんですよ?誰も突っ込まなかったのかな? それにしても、なぜ海外のメディアが各方面にコメントを取ってちゃんと「記事」にしているのに、なぜ日本のメディアにこれができないんだろう。これがまだJAXAの正式なプロジェクトとして認められたわけではない、ということをちゃんとJAXAのスポークスマンの言葉として掲載した日本のメディアがあったか?その部分を外すとこの発表はすごく誤解を呼びやすいんだけど、どの記事も「〜とJAXAが発表」「〜JAXAが明らかにした」となっていた気がするぞ。ぷんすかぴ。

§ **[clip] 【中国】上海ガニ:欧州で大繁殖、生態系の脅威に

中国産の上海ガニがヨーロッパの河川で大繁殖し、漁獲量が減っているという、お話。どうやらこのカニ、船舶のバラスト水を経由して流入したものらしい。

バラスト水というのは、空荷の時のタンカーや貨物船などで、船のバランスを保つために積まれる水のこと。たとえば、日本に荷物を運んできた貨物船は、日本で大量の水をバラストとして積み込み、海外の港で排出する。このとき、水と一緒に日本固有の生物種が海外に運ばれてしまうことがある。もちろんまったく逆に海外の生物が日本に持ち込まれることもある。ちなみに、日本は輸入大国なのでバラスト水問題については加害者の立場に立つ可能性の方が高い(流入1700万トン、流出3億トン)。

最近、このバラスト水を経由して持ち込まれる外来種がかなり問題視されていて、事例としては、この上海ガニや、日本からオーストラリアに持ち込まれたマヒトデが養殖貝類を壊滅させた例、東欧から北米へもたらされたゼブラ貝が発電所の取水口をふさいだ例、メキシコ湾に持ち込まれたコレラで1万人の死者がでたなんていう例もある。ただ、こういう事例が本当にバラスト水によるものなのかは異論もあるみたい。各国でも徐々に対策が進んでおり、2004年にはバラスト水を処理する装置を船舶に設置すること義務付ける条約が採択されている。

ただ、このバラスト水問題、まじめに突き詰めていくと「海外から持ち込まれる海産物に混入している外来生物」とか「既に対策を施してあるはずの船の底に張り付いてくる外来生物」なんかに触れざるを得なくなって、政治的にはかなり微妙な問題をはらんでいるらしい。そのあたりは、ごまかさずにきっちり調査して欲しいところだけど...。