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2011-04-17 GoogleSatTrack/StarlitNightでの人工衛星軌道要素の取得先を変更

 拙作のGoogleSatTrackStarlitNightで、アメリカ戦略軍, 宇宙統合機能構成部隊, 統合宇宙作戦センター *1SpaceTrack.com で提供している軌道データを直接取得、再配布する許可が下りました。

わーい!...って何のことだかよく分かりませんね。 

「アメリカ戦略軍, 宇宙統合機能構成部隊, 統合宇宙作戦センター」というのは、その名前の通り米軍の組織で、軌道上の物体を追跡監視している組織のことです。かつてはアメリカ宇宙軍(United States Space Command)という名前で知られていました。ここは、軌道が公開されている衛星についてその情報を2行軌道要素(Two Line Elements /TLE)と呼ばれる形式のデータで公表しています。たとえば、国際宇宙ステーションなら、こんな感じ。

 

ISS (ZARYA)
1 25544U 98067A   11105.80500000  .00036276  00000-0  25833-3 0  1957
2 25544  51.6457 121.0906 0003331 109.0507 243.1560 15.73467572711075

このデータをある一連の数式に放り込んであげると、人工衛星の現在位置を計算できる、というわけです。

この統合宇宙作戦センターが運用している軌道情報の配布サイトがSpaceTrack.com 。登録すれば誰でも、現在地球軌道上にいる数千個もの人工衛星衛星の軌道データを見られます(登録がちょっとめんどくさいですけどね)。ただ、一つ問題があって、規約上このサイトから直接取得したデータは再配布したり、分析結果を公表したりできません。つまりGoogleSatTrackのようなWebサービスで使ったり、計算結果をブログに書いたりしてはいけないわけです。

これまでGoogleSatTrackとStalitNightでは、この統合宇宙作戦センターから軌道情報の2次配布の許諾を得ている CelesTrack というサイトからデータをもらっていました(ただし、ISSとシャトルのデータはNASAからの取得です)。ただ、このサイトは基本的に更新頻度が1日に1回、また、打ち上げ直後の衛星の反映に1日〜2日かかることがあります。既存の衛星ならばこれでも十分すぎるほどなんですが、どうしても打ち上げ直後や軌道修正などの際にタイムラグが生じてしまっていました。

というわけで、軌道データの一次配布元である 統合宇宙作戦センター に申請を出して、正式に直接データを再配布する許可を得たというわけです。実際には、決められた手順に従って各所とメールでやり取りをし、書類を書いただけなので特に難しいことをしたわけではありません。

GoogleSatTrackやStarlitNightについてはこれで何かが大きく変わるというわけではありませんが、うまくいけば、これまでよりもう少しタイムリーに精度よく衛星を追いかけられるようになるかもしれません。*2

*1 US Strategic Command, Joint Functional Component Command for Space, Joint Space Operations Center

*2 これまでSoyuzやProgressなど打ち上げから宇宙ステーションへのドッキングまでの時間が短いミッションでは殆どトラッキングができませんでしたが、このあたりを少し改善できるかもしれません。

§ 余談

先方から送られてきた正式に許諾が下りたことを知らせるメールに、こんな一文が添えられていました。

 

We are pleased to inform you that your request has been approved  and you are free to redistribute any of the TLEs obtained through  SpaceTrack.com. We were highly impressed by your websites and wish you the best of luck in your future endeavors.  Thank you for your kind request and we are happy we could assist.

これまでも沢山の方から温かい言葉を頂いてきましたが、いってみれば衛星追跡の元締め、プロ中のプロである方々から、こういう言葉が頂けるというのは光栄の至りです。

§ 追記

国際宇宙ステーションとシャトルは以前からNASAが提供している軌道データを使用しています。

ref. Human Space Flight : Realtime Data: Orbital Elements